米大リーグのナショナル・リーグでも、今季から指名打者制度(DH制)が採用されることが決まった。

 この決定でまず注目されるのは、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手(27)。昨シーズンはナ・リーグ主催試合で登板がなければ、代打待機でベンチスタートだったが、指名打者で先発できるとなれば、打席数の増加が見込まれる。今季、ナ・リーグ本拠地での全試合にDHで先発すれば、40打席前後の打席増が見込まれるので、2本差で逃した本塁打王などのタイトル獲得に、大きな追い風となるのは確実だ。

 一方、大谷とは逆に、「できれば打席に立ちたくない」というサンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有投手(35)らもDH制導入を歓迎する。しかし大谷のように本格的ではないものの、単純にバッティング好きの投手たちは、打席に立つ機会を失うことに悲嘆の声を上げている。

「私はもうMLBでホームランが打てなくなってしまいました。」

 こんな言葉学でDH制導入を嘆いたのは、ミネソタ・ツインズの前田健太投手(33)だった。

 前田といえばロサンゼルス・ドジャースでメジャー初登板した試合の打席で、初安打を左翼への本塁打で記録。「野手でもプロで活躍できる打撃センス」と評された投手の一人だ。

PL学園高校時代は4番を務めていた

 もちろん前田のように打席への未練を残す投手もそうだが、そもそも投手が打席に立つ9人制野球こそが「本来のスタイル」で、「投手が安打を打つ意外性も必要」とDH制導入に反対する声もある。ただ、実はナ・リーグのオーナーたちが、DH制導入に消極的だった一番の理由は、もっと実利的な問題だったのである。

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source : 週刊文春 2022年2月24日号