子どもの頃、日曜日に家族で図書館へ行くのが毎週の楽しみだった。制限ギリギリまで借りた本たちを大きなトートバッグに傷まないよう、崩れないよう丁寧に詰めて、どれから読もうかとワクワクしながら帰路につく。家に着くころには本の重みで肩が持ち手の形に真っ赤になっていたけれど、その跡すら誇らしかった。人生に必要なことはだいたい本から学んできたし、その本たちの多くは図書館で借りた物だった。『税金で買った本』はそんな私の大好きな図書館を舞台にしたお仕事漫画である。

 小学生の時ぶりに図書館を訪れたヤンキー高校生の石平くんは、図書館カードを作ろうとしたところ、司書の早瀬丸さんに10年前に借りた本を返却していないことを指摘された。図書館での弁償は現品を購入して返す形。「わくわく☆しりたい どうぶつのなぞ」といういかにも子ども用の本を購入することに一度は躊躇ったものの、購入し返却。そのことをきっかけに図書館に通うようになり、さらにアルバイトをも始めるようになる。

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source : 週刊文春 2022年9月29日号