「もう一度訪れたいと思う土地はどこですか?」と言われて真っ先に挙げる国のひとつがスペインだ。照り付ける太陽の力強さと目にも鮮やかな街角の緑、人々の明るい笑い声とカラッと乾燥した風に乗って運ばれるオレンジの香り。『あかねさす柘榴の都』を開くと、その時感じたすべてを思い出す。まるでスペインそのものをぎゅっと閉じ込めたような、異国情緒にあふれた作品だ。
両親を亡くした14歳の少年・夏樹は、母の妹であるスペイン人のアルバの元に身を寄せることとなり、南欧のグラナダへと単身やってきた。それまで会ったこともなかった叔母と共に、「ピソ」と呼ばれる賑やかなスペイン風シェアアパートでの、言語も文化も今までとは違う、新たな生活をスタートさせる。
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source : 週刊文春 2022年10月13日号