冤罪がテーマのドラマというと、いわゆる良心的な社会派ドラマを思い浮かべる人も多いだろう。

 しかし長澤まさみ主演の『エルピス─希望、あるいは災い─』が描くのは、冤罪と無実の死刑囚の悲劇に止まらない。無辜の人間を逮捕、拘束した警察発表を疑わず加担した、マスコミの「冤罪報道」の在り方までが容赦なく晒される。

長澤まさみ ©文藝春秋

 関西テレビ、よく放映したなあ。カンテレ、偉い。

 大洋テレビの看板アナ、浅川恵那(長澤まさみ)は局員との路上キスを撮られ、ニュース番組のサブキャスターを降ろされる。

 浅川の新たな配属先は、深夜の情報番組。ダメな社員の吹きだまりだ。心身ともに最悪の状態から脱せそうにない浅川に新人ディレクターの岸本拓朗(眞栄田郷敦)が接近する。

 頭はカラッポの岸本Dが浅川をじっと視(み)つめる。「その目力、どうにかして」と浅川がたじろぐ程だ。岸本が持ちこんだのが、神奈川県の八頭尾山で十数年前におきた連続少女殺害事件だ。最高裁で死刑が確定しているが、この人は無罪だと訴える岸本。

 岸本の哀願する目力に負け、協力することになった浅川だが、壁は厚い。

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source : 週刊文春 2022年11月17日号