冤罪がテーマのドラマというと、いわゆる良心的な社会派ドラマを思い浮かべる人も多いだろう。

 しかし長澤まさみ主演の『エルピス─希望、あるいは災い─』が描くのは、冤罪と無実の死刑囚の悲劇に止まらない。無辜の人間を逮捕、拘束した警察発表を疑わず加担した、マスコミの「冤罪報道」の在り方までが容赦なく晒される。

長澤まさみ ©文藝春秋

 関西テレビ、よく放映したなあ。カンテレ、偉い。

 大洋テレビの看板アナ、浅川恵那(長澤まさみ)は局員との路上キスを撮られ、ニュース番組のサブキャスターを降ろされる。

 浅川の新たな配属先は、深夜の情報番組。ダメな社員の吹きだまりだ。心身ともに最悪の状態から脱せそうにない浅川に新人ディレクターの岸本拓朗(眞栄田郷敦)が接近する。

 頭はカラッポの岸本Dが浅川をじっと視(み)つめる。「その目力、どうにかして」と浅川がたじろぐ程だ。岸本が持ちこんだのが、神奈川県の八頭尾山で十数年前におきた連続少女殺害事件だ。最高裁で死刑が確定しているが、この人は無罪だと訴える岸本。

 岸本の哀願する目力に負け、協力することになった浅川だが、壁は厚い。

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2022年11月17日号