「まだ世の中にないもので自分に必要なものは何か？」と考えたんです。｜矢内廣

（やないひろし　ぴあ株式会社代表取締役社長。1950年、福島県生まれ。ぴあ株式会社代表取締役社長、PFF（ぴあフィルムフェスティバル）理事長。趣味はエンタメ鑑賞、俳句、声楽。社内ラーメン部と落語部の名誉部長。64歳でホノルルマラソンに初挑戦して3年連続完走した。）

　実家はいわき市にありました。家の裏の諏訪神社からは海を見下ろせたんです。港町だったから毎日魚料理で、肉が食べたくてね。お袋のおにぎりを持って海に行き、岩場で獲ったウニをおかずに食べていたから、今思えば贅沢な食生活でしたけど。東日本大震災で被災した実家は取り壊して今は跡形もありません。震災当時、家に誰もいなかったのが不幸中の幸いでしたが、故郷の家がなくなるほど残念で悲しいことはないですよ。

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source : 週刊文春 2023年7月13日号

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