人の死の消費のしかたについて考えたい。

 あえて「消費」という残虐な言い方を選んで書いた。

 弔意をすごくカジュアルに表明できるようになった。有名人が亡くなったとき、ツイッターに、その人の思い出とともに「R.I.P.」なんて書く人がいる。日本語話者なのにどこかカッコつけてるとすら思う。泣き顔の絵文字をつけるような人もいる。追悼の思いが嘘だとは思わないけれど、その軽いタッチは他人事だからできることだ。SNSがなかった頃は、有名人の死については実際こんな書き込みくらいポップに知人同士で語り合い、話題は流れていっただろう。それが文字となり、記録として残ることで、妙な寒々しさ、酷薄さが浮き上がるようになった。私はこんなふうに、記号的に人を追悼することにかなり抵抗がある。

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source : 週刊文春 2023年7月27日号