「納期は絶対厳守です。ミスをして役員や部長クラスが昼礼でブチ切れた場合、恐怖の『なぜなぜ分析』が始まります。ひどい時には仕事だけではなく『なぜこんな人生を送ってきたのか』と人格否定につながるような罵倒を、40~50代の課長クラスが他の社員の前で浴びせられることもありました。このような“公開処刑”を避けようと、『ミスはそもそも存在しなかった』と隠蔽に走る社員がいたのは、極めて自然な流れだったと思います」
こう打ち明けるのは、渦中の自動車メーカー「ダイハツ工業」の元従業員だ。
◇◇◇
ダイハツで、30年以上にわたる組織的不正が行われていたことが明らかになったのは今月20日のこと。認証を受けるにあたり、エアバッグの衝撃実験をタイマー作動でごまかすなど命に直結するような悪質な不正のほか、広くデータの捏造や改ざんなどが行われていたのだ。不正が明らかになったのは、実に64車種にのぼるという。
この問題を受け、ダイハツは自動車を組み立てる国内全工場の稼働を、12月26日までに全面停止すると決定した。
ダイハツの関連売上高の合計額は2兆円超、直接取引を行う下請けは8000社以上と裾野は広い。また「タント」や「ミライース」「タフト」といった自動車の他、商用車やダンプに至るまで、ダイハツ車は日本社会に深く浸透している。
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source : 週刊文春 電子版オリジナル