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女性活躍推進という視点からの産後ケア

――なるほど、ちょうど今、国が企業に対して「働き方改革」「健康経営」「女性活躍推進」ということを言い出していることと合致する取り組みですね。特に企業が産後ケアを補助することで女性活躍推進につながるのなら、企業は今までにはなかった人事戦略を考えられるのではないでしょうか。多くの企業が参考にできると思います。

 中には妊娠され、辞められたら困るということをいまだに思っている企業も残念ながらあると思うんです。それが、企業が育児インフラになれる可能性があるとすれば、女性や家庭、企業にとっても“WIN-WIN”になりますね。産後ケアを「母子保健」だけでなく「人事戦略」として考えるという視点は、非常に面白いです。

吉岡 そうなのですが、社員が何百人といる中で育休中の女性ってマイノリティですよね。そこに対する一般社員からの不公平感もあると思うので、費用対効果を出していくことは大事だと思っています。

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――それに、こうした仕組みを導入できるのはやはり様々な仕組みの整った大企業だと思います。せめて「企業が育児インフラになるのが当然」という雰囲気が出てきて、日本全体にも広がっていくといいですね。行政だけでは難しい育児インフラ作りを、NPOと企業の協働で社会に根を張っていこうという姿を見せて頂いたと感じています。その先に、吉岡さんがしてみたいことはありますか?

吉岡 私自身がもう一つのキャリアパスとして夢見ているのは、大学の一般教養の体育の時間で、人間の体の仕組みやそれぞれのライフステージにおける身体の変化やセルフケアを教えるような授業をしてみたいです。男女共に産前産後のことを前もって学べる場所を作るため、大学院に通いたいです。公衆衛生の文脈の中に産後ケアの必要性を位置付けていくため、論文を書いたり、学会発表もしていきたいですね。息子はもう大学生ですので、大学院生の母親というのもいいんじゃないでしょうか(笑)。

 

写真=深野未季/文藝春秋