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アマゾン、Netflix、テレビ局……映像配信、勝つのはどこか?

2019年の論点100

2019/02/16
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Netflixとアマゾンの大きな違い

 オリジナルコンテンツに投資をしているのはNetflixだけではない。アマゾンも会員制サービス「Amazonプライム」のサービスとして映像配信をもっている。投資額こそNetflixに劣るものの、オリジナルコンテンツへの投資に余念がない。

 両社とも、特徴は「テレビとの差別化」にある。有料配信なので、視聴者は自ら望んで契約し、番組を選んだ人々だ。だから、誰もが制約なく視聴できる地上波に比べ、表現の幅が広いのが特徴である。

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 ただし、Netflixとアマゾンでは、オリジナルコンテンツへの投資方針に大きな違いがある。

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 Netflixは、自社が出資して制作した作品を、基本的には「全世界同時」に配信する。「一見ニッチに見えるものでも、世界中のニーズを集めれば十分たくさんの人に楽しんでもらえる」との考えからだ。事実、日本やドイツで制作されたコンテンツは、9割がその国以外で視聴されている。幅広く優良なコンテンツが集まっている一方で、「日本人以外には通じづらい」作品は他社に比べ少なめだ。

 それに対してアマゾンは、一部のコンテンツは世界展開するものの、「その国に合わせた作品を調達する」意識が強い。特に日本では、吉本興業とタッグを組んで制作したバラエティ番組を多数配信し、成功している。

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「テレビ局系」の取り組み

 映像配信というと、海外から参入する独立系のサービスが思い浮かぶが、日本では「テレビ局系」の影響力も無視できない。そもそも、日本でもっとも多くのコンテンツを生み出しているのは地上波キー局だ。

 日本テレビはアメリカから上陸した「Hulu」の日本事業を買収、そのまま「日本テレビオリジナルのサービス」へと変化させた。フジテレビは独自に「フジテレビオンデマンド」を立ち上げ、TBSとテレビ東京は、WOWOW・電通などと共に「Paravi」を立ち上げた。いずれも配信事業者にイニシアチブをとられないための方策でもある。