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「小説もボクシングも、等しく自分の日常をかたちづくるものだった」――芥川賞受賞・町屋良平インタビュー

『1R1分34秒』で第160回芥川賞を受賞

2019/01/23

genre : エンタメ, 読書

note

漫画『ハイキュー!!』の描き込みに驚嘆

 ボクシングをしているときの身体運用のあり方を、これほど徹底して描写する表現もまた珍しい。

「ボクシングのテクニカルな部分を、『わかってもらえるかな』などというのは気にせず恐れずに書くというのも、今回のコンセプトとしてあったので。読者がついてきてくれるかどうかは正直わからぬまま、それでも突っ走ろうという挑戦をしてみたつもりです。この作品が評価していただけたのだとしたら、これから書き続けていくうえでも心強いことです」

©平松市聖/文藝春秋

 ボクシングを扱った小説は過去にいくつもあるし、スポーツ全般や格闘技がテーマの小説も多くある。先行する作品で参照したものはあるだろうか。

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「ボクシングがメインとなる話というのはあまり思いつかないんですけど、三島由紀夫さんの『鏡子の家』にボクサーが出てくるのは記憶に残っています。モデルにしたり参考にしたというのではありませんが」

 小説にかぎらず、いわゆるスポーツものでお好きな作品は?

「ボクシング漫画は有名なものがいくつもありますが、そのあたりからの影響はあまりないような……。ただ、スポーツ漫画はよく読んでいて、そこからの影響はありそうです。とくに好きなのは『ハイキュー!!』。バレーボール漫画ですね。技術的な面までしっかり描き込まれているのがいい。やっぱりそういうマニアックなところに、グッときてしまう性分なんでしょうね(笑)」

©白澤正/文藝春秋

第160回芥川賞受賞 1R1分34秒

町屋 良平

新潮社

2019年1月25日 発売

「小説もボクシングも、等しく自分の日常をかたちづくるものだった」――芥川賞受賞・町屋良平インタビュー

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