「コミュ障だから」人気がないんだ
――スタッフから「このキャラでいけ」とか言われることはなかったですか?
田中 (溝手)るかは「歌を真面目に追求して」と言われたり、あみた(前島亜美)は「アイドルらしく」と言われていたけど、私には一向に言ってこないんです(笑)。不安に思って聞きに行ったら、「美麗はそのままでいい」と言われて。「いや、『そのまま』が分からない」と思ったんですけど(笑)。「キャラがないってことかぁ」と受け止めました。そもそもワースト3を行き来するような不人気メンバーだったんですよ。
――「AKB48みたいな総選挙はない」と聞いていたけど、モバイルサイトでの人気投票があったんですよね。
田中 あんなにハッキリと順位が出るなんて。しかも、ランキングは低いのに『みらくるが止まンないっ!』(1stアルバム収録曲)でセンターになったもんだから、メンバーやファンの目が怖かったです。「人気がないのになんで前にいるの?」と思われているんだろうなって。MV撮影の時はカメラを向けられると泣いちゃうくらい精神的に不安定でした。
――人気がないことを自己分析したんですか?
田中 自己分析して、「アイドルらしくないから」「コミュ障だから」という結論に達しました。ファンの方の間では私の握手が伝説になっていたんですよ(笑)。相手の目じゃなくて自分の手を見て、「田中美麗です。ありがとうございます」しか言わないから。不器用だし、まだ14歳だから40歳や50歳の方と目を見てしゃべるのが恥ずかしかったんです。当時は握手会が苦手で、出たくなくてトイレにこもったこともありました。
きっかけは「前髪を切ったこと」
――でも、どこかで掴んだわけですよね。
田中 3rdアルバム『Celebration』の時期(2013年2月)に前髪を切ったんですよ。
――前髪が関係あるんですか?
田中 超関係あるんですよ! それまでのキツそうな印象が変わったみたいで、ファンの方が「柔らかい雰囲気になったね」と褒めてくれたから、私も素直に「本当に⁉」と返して。その何気ない掛け合いから自然に話せるようになったんです。もともとはしゃべりたがり屋なので、本来の自分が出せるようになったんだと思います。それから握手会で完売が出て。最初は「偶然かな」と思ったけど、どんどん完売が増えていったんです。
――グループ内の人気で1位、2位を争うようになって。
田中 そうでしたね。あみたと私は完売しちゃうから、ファンの方も早く買うようになったみたいで。その人気をどうキープしようという悩みもありましたけど、握手が得意分野になりました。