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「『北方領土』と呼んでいることは、ロシアは容認できない」

セルゲイ・ラブロフ ロシア外相
「第
2次世界大戦の結果として、主権がロシアにあると認めないかぎり、何らかの進展を期待するのは非常に難しい」
FNN PRIME 1月15日

セルゲイ・ラブロフ ロシア外相
「日本の国内法で、島々を『北方領土』と呼んでいることは、ロシアは容認できないと指摘しておきます」

ハフポスト日本版 1月15日

セルゲイ・ラブロフ ロシア外相
「(日本は)第二次世界大戦の結果を認めていない世界で唯一の国」

ブルームバーグ 1月21日

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セルゲイ・ラブロフロシア外相 ©時事通信社

 日ロ両国は交渉を加速させるため、外相を責任者とする新たな枠組みをスタートさせた。しかし、1月14日に行われた河野太郎外相とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相の会談の後の記者会見でラブロフ氏は日本側を強く牽制。日ロ両国の溝が鮮明となった。ラブロフ外相は16日の会見でも日本が北方四島の領有権を主張していることについて「国連憲章上の義務に明白に違反している」と強く批判した(ブルームバーグ 1月21日)。

河野外相「手応えはあった」と言うが、共同記者会見もなし

 北方領土はロシアに不法占拠されたものという歴史認識に立つ日本としては、ロシアの「正当な獲得」は当然認められない。ロシアの認識を認めるのであれば、尖閣諸島や竹島の領土問題にも影響しかねない。

 河野氏は「立場に違いはあるものの、お互い主張をしっかり議論した」「手応えはあった」と強調したが、共同記者会見は行われなかった。ロシア側は日本側が開催を拒否したと批判している(テレ朝news 1月14日)。なお、ラブロフ氏は昨年12月にも北方領土をロシア領と認めることが平和条約締結交渉の前提だという認識を示したが、河野氏は記者会見で一切の質問を受け付けずに「次の質問どうぞ」と4回繰り返して回答を拒否した(ハフポスト日本版 2018年12月11日)。

 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授の宇山智彦氏は「『ラブロフ外相が厳しい発言をするのは牽制で、大統領は別だ』と言う人もいるが、まったくの希望的観測でしょう。単に言い方が違うだけで、立場は同じです」と指摘している(朝日新聞デジタル 1月24日)。