「ゴールが入るまで打ってやる」
南野の最大の魅力は、ゴールにこそ価値があるということをわかっているところにある。日本では「柔道」、「書道」、「茶道」などの「道」の考え方があるため、適切なプロセスや型がことさらに大切にされがちだ。
しかし、サッカーの本場であるヨーロッパではそうではない。サッカーの本質はゴールを相手チームよりも多く決めることであり、人気も給料もゴールを決められる攻撃的なポジションの選手の方が高い。
南野もそれはわかっている。だから、「まずはチームが勝つことが大切」と語ったうえで、ゴールにこだわる思いを隠そうとはしない。
多くのチャンスを決められなかったことで厳しい批判も受けた、今大会第2戦のオマーン戦の後にも彼はこう語っている。
「外したシュートはありますけど、別に、気持ち的には何の問題はないですし、ゴールが入るまで打ってやろうと思っているだけなので」
「2.8試合に1ゴールを決めている」南野が決勝で歓喜をもたらす?
今大会中に24歳になった亥年の年男である南野は、これまでは若さゆえに調子の波も大きかった。
成長著しい今季はザルツブルクでこれまで25試合11ゴールと過去最高のペースでゴールを決めている。11ゴールを決めた2シーズン前も1試合で複数得点を決めることも多く、3.4試合に1度ゴールを決める計算になるが、今シーズンは2.8試合につき1ゴールを決めている。見逃せないのは、日本代表にも選ばれたために、9月、10月、11月と3ヵ月連続で日本とザルツブルクを16時間近くかけて往復するハードな生活のなかで、それだけコンスタントにゴールを決められるようになったことだ。
今大会はゴールから見放されているが、決勝トーナメントにチームが勝ち進んでからも、貪欲にゴールを狙う想いは変わらない。
「そうでないとやっていけないし、世界を見ても、点を多く獲っている選手はそういう考えです。そういう選手じゃないと怖くはないと思うし。別に、エゴイストになるわけじゃないけど、強い気持ちを持ってプレーしたいなと、いつも、思っています」
決勝のカタール戦で今大会6試合目を戦う南野がゴールを決め、日本代表に歓喜をもたらしたとしても、何ら不思議ではないのである。