「せざるを得ない」流れだったのかもしれない
では今回の夕刊フジの「スクープ」は一般紙ではどう報じられたか。翌2月7日の朝刊各紙を調べてみた。
前回のコラムで書いたように、タブロイド紙に大々的に掲載されたネタが一般紙でも報じられるのか。またはどう報じられたか。その読み比べでネタを「測る」ことができる。
産経新聞は「辻元氏に外国人献金」「規正法抵触 国対委員長は辞任せず」と政治面の約半分を使って報じたが「韓国」はとくに立たせていない。
朝日、読売、毎日、東京、日経の5紙は政治面や社会面でベタ記事として報じていた。ここでも「韓国」「レーダー照射」との関連は書いていない。
たしかに、《男性が13年5月に「寄付金は外国籍の方からはできません」と記された振込用紙を使って1万円を寄付していたことが発覚》(朝日2月7日)という単純ミスを知ると、「辻元氏や立民がレーダー照射問題などを取り上げない『韓国スルー』」(夕刊フジ2月6日)とはおそらく(というかまったく)関連性がないことがわかる。
私は昨年末にあるマスコミ人に聞いた言葉を思い出した。「いま、保守派はロシアや中国や北朝鮮は叩けない。北方領土問題や米中経済摩擦や米朝会談で慎重なときだから、気持ちよく叩けるのは韓国しかない」と。
その数日後にレーダー照射問題が起きた。なので興味深くその報道ぶりを追った。その間、首相や外相がロシアに苦戦する北方領土交渉という出来事もあった。
保守派タブロイド紙の立場を考えると、韓国を連日一面に「せざるを得ない」流れだったのかもしれない。刺激的でわかりやすいタブロイド紙の論調だからこそ見えてくることもある。それは読む側の心理の反映でもあろう。
そんなことも考えた、年末から続いた夕刊フジ「韓国一面祭り」であった。