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2019/02/14

 アベノミクスでIPO長者となった経営者や役員も多いですが、実は万が一の際には子息に多額の相続税が発生する可能性があって、喜んでばかりはいられません。たとえ株式の価値が100億円であったとしても、自社の株式を自由に売却することができないからです。配偶者である妻が資産を引き継ぐ場合、法定相続分であれば相続税はかかりません。しかし、子供には相続税が55%程度かかってきます。相続税を支払うために莫大な現金を準備する必要が出てくるのです。しかし、家族全員でシンガポールなどの相続税がない国に10年以上住めば、海外資産に限っては相続税の55%をゼロにできる可能性もあるのです。

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万一が起きても、生命保険で相続税を払える

 シンガポールで購入できる海外生保は死亡保険金を110億円程度(日本では7億円程度)までかけることができます。「日本人が相続税を払うために、国のためにかける保険」とシンガポール人のプライベートバンカーが揶揄することもあります。また、年齢にもよりますが、100億円の死亡保険金のある保険を買うには数十億円もの保険料が必要になりますが、それもプライベートバンクが9割程度融資をしてます。金融商品を購入する現金が満額なくても、シンガポールでは保険や債券などの金融資産を担保にして貸し付けてくれるのです。つまり、たとえ10年住んでいない場合に万一が起きても、生命保険で相続税を払うことができるのです。

 シンガポールに住んでいて日本非居住者であれば、キャピタルゲインも非課税です。プライベートバンクを利用し、手堅く国債などで3%運用をするだけでも、100億円の元金に対して、3億円の年額リターンを簡単に得ることができます。20%程度キャピタルゲインを取られる日本と比較すると資産の増え方が変わってきます。

「マーケットは冷ややかです。LIXIL社長が交代した時に株価は急落し、今回の海外移転のスクープを受けても無反応でした」。こう話すのは富裕層向けのプライベートバンク事業に従事しているウェルスガーディアン株式会社、代表取締役副社長の岡剛史氏。

 事業を東南アジアで拡大をするためにシンガポールを目指す経営者、節税のために来る経営者など理由はそれぞれですが、マーケットは全てをお見通しなのでしょう。