倉田淳さん

 男優だけの劇団スタジオライフは唯一の女性メンバー倉田さんの演出・脚色で萩尾望都『トーマの心臓』他、少女漫画の名作を舞台化してきた。

「成人男性が10代の少年少女を演じる。でも演劇は元々“異形”を見せるもの。観客の大半が女性で、積極的に“虚構”に入り込んで下さいます」

 今春、萩尾氏の短編「なのはな」を上演する。主人公は福島で暮らす小学校6年生ナホ。大震災の津波で「ばーちゃん」が行方不明のまま、5人家族で避難先に移り住んでいる。彼女と祖父だけが、牛やヤギを飼い、畑で作物や花を育てていた優しい祖母の帰りを、諦めず待ち続けている。

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「8年前、萩尾先生に雑誌掲載前の原稿を見せていただいた時から、いつか舞台化せねばならない、と思っていたものの、のほほんと東京にいる私にその資格があるのか、ずっと怖かったんです。でも今年は、先生の漫画家生活50周年。思い切って踏み出しました」

 一同福島弁に奮闘しつつ、ドキュメンタリーを見てミーティングをしたり、被災地を手探りで知ろうとしている。

「同性だけだから、見栄を張る必要もなく、恥を掻き合って稽古しています(笑)」

INFORMATION

「なのはな」
東京芸術劇場シアターウエスト 2月27日~3月10日
ABCホール(大阪)4月12日、13日
http://www.studio-life.com/stage/nanohana2019/