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途中駅から乗る人のためのサービスと言えそうだ

 夜で景色が見えないくせに、なんとなく窓際を選んでしまう。これは私の旅の癖。残り少ない窓際席を指定して、決済へ進んだところ「この席は販売済」というメッセージが現れた。しまった、もたもたしていたら取られてしまった。もういちどシートマップに戻り、別の窓際席を指定したら、またもや販売済。3回目でやっと窓際席を確保した。「Qシート」は発車間際にどんどん席が埋まっていく。まだサービス開始から半月だった頃、すでに人気は上々のようだった。

 旗の台駅で「Qシート」付き列車に乗り、座る。ありがたい!! 大井町駅から座ろうと思えば、並んで次の列車を待てばいい。しかし途中駅では並んでもダメ。つまり「Qシート」は、途中駅から乗る人のためのサービスと言えそうだ。

上空から見た大井町駅。ここから京浜東北線に乗り換えて都心方面に向かうことができる ©iStock.com
Qシート運行車両の路線図。オレンジが大井町線急行、グリーンが田園都市線、ブルーが目黒線、レッドが東横線(国土地理院地図を加工)

 東急大井町線は大井町駅と二子玉川駅を結ぶ路線だ。さらに二子玉川駅から田園都市線の溝の口駅まで、複々線にする形で直通している。

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 大井町線のほとんどの列車は大井町と溝の口を往復する。ただし、夜間に田園都市線に直通し、鷺沼や長津田まで足を伸ばす列車もある。「Qシート」は急行に連結されており、停車駅は大井町、旗の台、大岡山、自由が丘、二子玉川、溝の口、鷺沼、たまプラーザ、あざみ野、青葉台、長津田だ。

「Qシート」の運行は夜間のみ。残念ながら車窓は楽しめない 撮影:筆者

座席の下にコンセントがあって充電も可能

 1月下旬の月曜日、大井町駅22時27分発の「221号」に乗ってみた。大井町駅からの乗客は20人。45席の半分ほど。窓側はほとんど埋まり、車端部のロングシートに3名。「Qシート」の車両は、基本的には窓に背を向けるロングシートで、指定席として運行する時だけ中央部の座席が90度回転し、進行方向の2人掛けとなる。3人グループ客はロングシートが会話しやすいようだ。

 旗の台駅で6人乗車。池上線と交差する駅で乗換客も多い。大岡山駅で5人乗車。この駅は目黒線と同一ホーム乗り換えができる。東横線と交差する自由が丘駅で5人乗車。「Qシート」専用車両は車掌2名。停車駅には2名から3名の駅員がいた。自由が丘駅は混雑する駅で、駅員3名と警備員2名が整理していた。この自由が丘駅までが「乗車専用駅」だ。降車はできない。「Qシート」は大井町線内の利用はできない。二子玉川より先、田園都市線利用者のための列車だ。

「Qシート」車両は空いていて見通しがいい。貫通扉の窓の向こうを見ると、隣の車両の混雑ぶりがわかる。それとは対照的に、こちらは落ち着いた雰囲気で、1人はノートパソコンで作業し、他のほとんどの人がスマートホンを操作している。座席の下にコンセントがあって充電も可能。これは帰宅時にありがたい。

「Qシート」のクロスシート 写真提供:東急電鉄