「キャリアは15年ですけど、不遇の時代もあった」
もっとも、ずっと順風満帆だったわけではない。土屋の場合、事務所に所属してからしばらく役のオーディションに受からない時期が続き、ようやく2008年に『トウキョウソナタ』で映画デビュー、テレビドラマには2010年のNHK大河ドラマ『龍馬伝』で初出演を果たす。NHKの連続テレビ小説『花子とアン』(2014年)にヒロインの妹役で出演したあとも次の仕事が決まっておらず、翌年の朝ドラ『まれ』のオーディションを受けた。当時は「朝ドラではヒロインの妹や親友を演じると主演できない」と言われており、ダメ元での挑戦であったが、見事にジンクスを打ち破り主役の座を射止める。最終審査では、部屋を出る際、監督やプロデューサーに「チャンスをください!」と訴えたという(※1)。
松岡茉優も、『万引き家族』の是枝裕和監督とともに早稲田大学での講座に登壇した際、《キャリアは15年なんですけど、不遇の時代もあったので…きゅっとしたら5年です》と語っている(※2)。たしかに、芸能活動を始めてから、映画『桐島、部活やめるってよ』(2012年)や朝ドラ『あまちゃん』(2013年)で注目を集めるまでほぼ10年を要した。
「元AKBの肩書で使ってもらえるけど、徐々に消えていくだろうな」
川栄李奈は先の3人にはやや遅れて、15歳だった2010年にAKB48に加入する(それでも十分早いが)。AKB時代は、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)の抜き打ち学力テスト企画で珍解答を連発するなど、どちらかといえばバラエティ寄りの印象があった。それが2015年のAKB卒業後は演技の仕事を本格化し、才能を開花させる。この展開には驚いたファンも少なくないだろう。本人も昨年のインタビューで、《お芝居がしたくてAKBを20歳の時に辞めたのですが、あの頃は今の状況を全く想像していませんでした。辞めた直後は元AKBという肩書で使ってもらえるかもしれないけど徐々に消えていくだろうな、と思っていましたから。きっと周りの人々も想像していなかったはず(笑)》と話している(※3)。映画『デスノート Light up the NEW world』(2016年)でサイコな殺人鬼を演じたかと思えば、現在放送中の大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』では、神木隆之介扮する新米噺家のガールフレンドをコミカルに演じるなど、演技の幅広さにはすでに定評がある。昨年には初の主演映画『恋のしずく』も公開された。
奈緒(2月10日生まれ)は、高校時代にスカウトされ、地元・福岡でモデルやレポーターとして活動を始めた。やがて演技のワークショップへの参加をきっかけに演じる楽しさを知り、女優に転身、上京する。20歳をすぎて、脚本家の野島伸司が総合監修を務める俳優養成スクール「ポーラスター東京アカデミー」の開設を知り、「こういうところで一から育ててもらいたい」と一念発起して1期生オーディションを受験、「特待生」に選ばれて1年間演技を学んだ(※4)。スクール在籍中の2016年に『雨女』で映画に初出演、昨年放送のNHKの朝ドラ『半分、青い。』ではヒロインの幼馴染を演じ、一躍注目された。