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「安藤サクラさんは全女優にとって絶望的な存在」

 同年同月に生まれた5人の女優は、それぞれ違った個性を持ちながら、いずれも着実に成長を続けている。その源泉は強いモチベーションにあるのだろう。土屋太鳳は昨年、ヒロインを務めた映画『春待つ僕ら』の公開時、今後の目標として次のように語っていた。

《いくら体験を重ねても、それがきちんと経験にならないことが歯がゆくて。私の目標は歳を重ねることによって、例えば一つ一つの体験が点だとしたら、その点をしっかり線として繋いでいけるような人になりたい。今はまだ、点の状態が続いていて、線が描けていないので、やればやるほどお芝居は難しいなって感じることの方が多いですね》(※5)

 松岡茉優は、『万引き家族』がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したあと、共演した安藤サクラに対する特別な思いをたびたび口にしている。先に引用した早大の講義では、《安藤さんの存在は全女優にとって絶望的な存在なんです。ウソでしょってくらい。絶望的に素晴らしい芝居をやられるんです》、《本当のことを言うと、カンヌで赤い絨毯を歩く上で、安藤さんと同じ笑顔で歩けないと思いました》と、“敗北”を認めた(※2)。

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 また、昨年11月に、第10回TAMA映画賞の最優秀女優賞を安藤とともに受賞したときには、《嬉しくてたまらないのですが、もし、最優秀賞が1名だったら、わたしは確実にここにはおりません。完全な2位だと思っています》と述べている。さらに、《[引用者注:『万引き家族』での安藤のラストシーンを見て]悔しいと思えたことは(女優としての)一番の成長。サクラさんにいつか追いつきたい、追い越したいと思えるようになったのは、(2年前に)ここで女優として認めてもらったから》と、2016年に同映画賞で最優秀新進女優賞を受賞して以来、安藤を目標としてきたことを明かした(以上、引用は※6)。

 24歳となった彼女たちは亥年の年女でもある。皆、今年もきっと猪突猛進の活躍を見せてくれるに違いない。

※1 『週刊朝日』2017年3月31日号
※2 「FNN PRIME」2018年6月4日
※3 『キネマ旬報』2018年11月上旬号
※4 「まんたんウェブ」2018年5月13日
※5 『キネマ旬報NEXT』Vol.22
※6 「シネマトゥデイ」2018年11月17日