文春オンライン

まるで“国際ロマンス詐欺”? 「安倍首相がハマり込んだプーチン無間地獄」

「4-2」は、もしかしたら「0」になるかもしれない

2019/02/22
note

首相&外相の「一族の悲願」がムンムン

 この頃は「悲願」に関する記事も目立った。

「『安倍・岸』外交の総決算」(読売新聞1月18日)

《安倍首相が掲げる「戦後日本外交の総決算」には、岸元首相が憲法改正とともに「やり残した」と語っていた北方領土問題の解決が欠かせない。》

ADVERTISEMENT

 こちらは外相に関する記事。

「河野外相 祖父から継ぐ宿題」(産経新聞1月13日)

《河野太郎外相は、63年前の日ソ国交回復に深く関わった河野一郎元農相を祖父に持つだけに、平和条約への思い入れは強い。》

河野太郎氏 ©文藝春秋

 首相&外相の「一族の悲願」がムンムン。ところが1月14日の外相会談でラブロフ外相は「北方4島の主権がロシアにある」との原則的立場を崩さなかった。

 ロシアの態度硬化。読売には「日本政府高官」の見解が。

《「これまでの傾向から、プーチン大統領とラブロフ外相で役割分担をしている。想定通りだ」と冷静な反応を見せた。》(読売1月16日)

 つまり、「ラブロフ氏が悪玉となり、プーチン氏が善玉」という役割分担をしていると。ラブロフ外相が強気な態度で最初にきて、そのあとにプーチンが甘いささやきをするという展開を日本側は予想しているんだと。なるほど。で、いよいよ首脳会談。

セルゲイ・ラブロフ外相(左) ©共同通信社

 プーチンも厳しかった……。悪玉善玉の役割分担説はどこへいったのだ……。

 翌日の各紙は、

「四島帰属言及せず」(東京新聞1月23日)

「むしろ、ロシア側が求める経済協力というカードを先に切らされた格好だ」(「領土交渉 いばら道」朝日1月23日)

 各紙に厳しい現実が並ぶ。

 この時期は「国際ロマンス詐欺」というニュースも話題になったが、私はうっかり日露首脳会談のことかと思った。「安倍&河野一族の悲願」というロマンをまんまと利用された感。