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2019/02/28

カリスマ支配組織のたどる道

 しかし、引き継いだ経営陣は赤字を重ねていく。当時の経済誌は、組織には渡邉に従順な者だけが会社に残り、同じようなことしか考えない「幹部の同質化」が進み、また結果を得ようとするあまり、渡邉時代という過去の成功体験への依存を強めたと指摘している(注5)。結局のところ、渡邉の幻影に支配され続けたようである。

 そういえば尼崎脱線事故とその後のJR西日本を書いた松本創『軌道』は、天皇とまで呼ばれた井手元会長のもとで会社組織がどう歪んでいったかをこう見抜いている。「独裁者が支配する組織は、個人を溶解させる。個人が溶解すれば、主体的な判断や思考を誰もしなくなる。前例と予算と内部の力関係、そして空気に支配される」と。上述のワタミの不振についての指摘と重なり合うものがある。カリスマ支配の組織のたどる道は同じなのだろうか。

©文藝春秋

 そんな渡邉も政治の世界ではただの新人議員であった。議員生活2年目の2014年の週刊文春5月22日号には「彼は会合等で独善的な意見ばかり言って周りをシラけさせていました。彼に共鳴する人なんて誰もいませんよ」と自民党議員の声が載る。そして渡邉は「何一つ力を発揮することができなかった」(注6)と述べ、政界引退を表明することになる。

 殊勝なことをいう渡邉だが、国会議員としては飲食業や介護の人手不足を理由に、外国人労働者の受け入れ拡大を推進した。その甲斐あってか、昨年「移民法」が成立する。渡邉がかつて「夢」や「ありがとう」集めで労働力を確保しようとしてきた業種は、こんどは日本を夢見る外国人をかき集めようとしている。

(注1)テレ朝news(https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000147556.html
(注2)産経新聞Web版(https://www.sankei.com/politics/news/190213/plt1902130007-n1.html
(注3)「日経マネー」2007年11月号
(注4)「プレジデント」2005年1月17日号
(注5)「日経トップリーダー」2015年12月号
(注6)朝日新聞デジタル(https://www.asahi.com/articles/DA3S13891708.html

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