今年一番の衝撃作が登場だ。映画『岬の兄妹』は脚に障害を持つ兄が極貧から抜け出すために自閉症の妹に売春させる物語。『カメラを止めるな!』と同じく独立系映画だが、こちらは哀しく可笑しい人間を活写する。鬼才ポン・ジュノの元で学んだ片山慎三の長編初監督作だ。

片山慎三監督

「ジュノ監督の『母なる証明』(09)は撮影に半年かけて、1日5カットなんてザラ。僕もクオリティ優先で撮影に2年かけ、自腹で完成させました。季節やロケ地、カメラワーク、音楽にまでこだわれて良かったと思います」

 貧困や障害、暴力を描く本作は挑発的なほど随所にユーモアやギャグが配される。

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「悲惨と笑いが同居してますよね。食料が尽きてティッシュを食べちゃう場面とか狙って演出しています。演じる松浦祐也さんや和田光沙さんたちのお陰で、ストレートに笑える場面に仕上がりました」

 タブー破りの本作、全国公開が「事件」と騒然だ。監督はどう受け止めているのか。

「すべてを手加減なしで描いたので、正直、僕自身でも事件かも(笑)。予定調和な映画が氾濫している現在、最後まで先が読めないこの作品を多くのお客さんに観て頂けたらと願っています!」

INFORMATION

映画『岬の兄妹』
3月1日より全国公開
https://misaki-kyoudai.jp/