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アマゾン創業者とテスラ創業者。宇宙ビジネスの覇者になるのは?

成毛眞が『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』(クリスチャン・ダベンポート 著)を読む

2019/03/05
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『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』(クリスチャン・ダベンポート 著/黒輪篤嗣 訳)

 アマゾン創業者のジェフ・ベゾスと電気自動車製造会社テスラ創業者のイーロン・マスク。太陽が昇るどこかの惑星(または衛星)を背景に2人が対峙している表紙は鮮烈だ。どちらかがほかの星に降り立つ日も近いことを暗示しているようだ。

 それぞれの個人資産は十数兆円と2兆数千億円。政府機関を凌駕する力をもつといわれる55歳と47歳。二人は人類にとってどんな存在になるのだろう。そして人類はどこへ連れて行かれるのだろう。

 ジェフ・ベゾスはアメリカ生まれ。SFファンだった少年は、最優秀の成績で高校を卒業し、名門プリンストン大学で物理学を学ぶようになる。コンピュータ科学と電気工学の学位を取得して金融界に飛び込んだ。

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 いっぽうのイーロン・マスクは南アフリカ生まれ。10歳でプログラミングを習得し、高校を卒業し、その後アメリカのペンシルバニア大学へと進んだ。物理学と経済学の学位を得て卒業し、即座にベンチャービジネスを立ち上げた。

 社会人になった2人は金融界やインターネット業界で経験を積み、創業した会社を育て上げ、自社を売却し、他社を買収し、新たな挑戦に挑み、ビジネス界の覇者となっていった。

 しかし、かれらがロケット開発を始めたのは富豪になってからではない。ベゾスはアマゾンが黒字を計上できるようになる前の2000年、マスクは3社目の創業として2002年のことだった。かれらの最終ゴールは宇宙だとでもいわんばかりに30代の若さで創業しているのだ。