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“平成生まれっぽくない”女優の木竜麻生が、5年かけてお父さんにデビューを認めてもらうまで

木竜麻生さんインタビュー #2

note

「あまった卵焼きは夜ご飯にしよう」とか考えながら

――上京して、初めての一人暮らしでしたよね。

木竜 はい。大学生の頃は、パン屋さんでアルバイトしていました。それからカフェのホールスタッフ。高校の時にも内緒で喫茶店のホールのバイトを(笑)。もともとそんなに外食をするタイプじゃなかったので、なるべく自炊をするようにしていました。時間がある日には、がんばって大学にもお弁当を。

 

――それはすごい。きちんと料理していたんですね。

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木竜 高校の時から、自分の分のお弁当は自分で作っていたんですよね。母の高校時代の真似っこなんですけど(笑)。母から「あとあとになって、すごく楽だったからやってみれば?」って言われて。母の横で、自分のお弁当は自分で作る。その延長という感じだったので、そんなにつらくなかったですね。「あまった卵焼きは夜ご飯にしよう」とか考えながら(笑)。なんとかやっていました。

 最近は、外でごはんも食べますけど、料理も嫌いじゃないので、作るようにしています。でも一人なので、適当ごはんですけどね。いまだに地元や実家は恋しいです。

――それでも、女優の道へ進んだのは?

木竜 原宿でスカウトされた後、実家で父が事務所の社長にこう言ったんです。「東京へ出るときに、本人にやりたい気持ちがあればお預けします」と。周りは就職活動を始めているなかで、私はそれよりも、今面白いと思っているお仕事をとことん頑張ってみたいと思いました。

 

――大学生で映画デビューした『まほろ駅前狂騒曲』(2014年)、初期の『アゲイン 28年目の甲子園』(2015年)、『グッドモーニングショー』(2016年)などは短いシーンの出演ですが、それぞれに木竜さんらしさがにじんでいるように思います。

木竜 ありがとうございます。ちょっとずつ経験を積んでいくなかで、「『もう限界』って思ったところからあと2つくらいは人間がんばれるかもな」って思うようになりました(笑)。