神回を続出させた朝ドラ『半分、青い。』。脇役の中でも、ひときわ強い印象を残したのは萩尾律(佐藤健)を凍り付かせる妻・より子を演じた石橋静河さんでしょう。一瞬の登場シーンにかけたその思いとは? じっくりと伺ってみました。(全2回の1回目/#2へ続く)
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「より子さん」の出番は全156話のなかで考えたらほんの一瞬なのに
――デビュー間もなく数々の新人女優賞に輝いたのが、昨年の『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』。今年も映画『きみの鳥はうたえる』のヒロイン役のほか、『半分、青い。』や『dele』など、テレビドラマでもよくお見かけするようになりました。
石橋 このお仕事を始めて3年経つんですが、こんなに「観てるよ」と言われたのは初めてです。ちょっと他人事のように感じるくらいで。さすが朝ドラだなあって、『半分、青い。』には感謝の気持ちでいっぱいです。
――演じた役は主人公・鈴愛(永野芽郁)が想いを寄せ続ける律(佐藤健)の妻・より子。鈴愛も律も「離婚」するという、およそ朝ドラ的ではない流れは話題を呼びましたが、まさにその怒涛の展開を深く印象付ける脇役でしたよね。
石橋 そうなっていればうれしいです。でも、出番としてはトータルで何分くらいなんだろう。それくらい出演時間は少なかったはずで、全156話のなかで考えたらほんの一瞬と言ってもいいくらいだと思います。律の結婚相手として突然登場して、しばらくして今度は息子の翼くんと一緒に登場して、そして今度は離婚して再婚してしまっていましたから(笑)。
悪役としてより子さんを演じたつもりはありません
――その、ドラマの中に点在する感じが逆に印象的だったんです。朝の物語に、亀裂を入れる役どころですから。
石橋 存在のしかたが大胆な役柄だったのかもしれませんね。殺伐とした声で上昇志向のない律を責めるようなことを言ったり、律の実家に抱く「息苦しさ」もわりとはっきりと見せる人だったし。でも、私は悪役としてより子さんを演じたつもりはありませんでした。むしろ、この人は何でこんな嫌なことを言うんだろう、態度に出すんだろうって考えました。鈴愛ちゃんや律のようには、物語の中で人生が描かれていない人だからこそ、より子さんの人生をより一層引き受けるというか、描かれていない物語を想像することが大切だと思ったんです。