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「胸を残すように頑張ります」と語ったドクター
私としては、まさかがんになっているとは思っていませんでしたが、英語に自信のない私に付き添う予定になっていた友人は、すでにその時ピンと来ていたようです。
すぐに出かける準備をし、病院に向かったものの、着いたところで待たされること1時間。
この辺りが、アメリカ医療の特異さです。早く来いと言ったのはドクターの方なのに、なぜ、こんなに待たされるんだ!? 半ば不機嫌になりつつ診察室へ……。
覚悟を決めている友人とは違い、何も心構えがなかった私は、「がんです」と言われた時、とっさに聞き間違いかと思ってしまいました。
「今、がんって言いました?」
と聞き直したところ、「YES」というドクターの答え。
「あ、合ってた。私の英語力、上がってるじゃん!」
と自分に感心してしまったくらい、妙に冷静な私がいました。
しかも、摘出した3.2センチの細胞の100パーセントががんで、初期ではないとのことでした。頭の中は「マジ?」でいっぱい。ドラマを見ているみたいで、自分のことではないように感じていました。
でも、がんの宣告は事実です。担当のドクターは、
「胸を残すように頑張ります」
と言い、次の治療を促しました。その時は、私も「できるだけ胸を残したいな」と思っていました。