このランキングでは「愛着度」「自慢度」を数値化し、グラフ化しているが、それを見ても茨城県と埼玉県の県民は地元への愛が希薄なのが分かる。
しかし、いっぽうで埼玉県民はこんな不人気ぶりをむしろ自虐的に楽しんでいるようだ。
「パタリロ!」で知られる魔夜峰央が描いたマンガに「翔んで埼玉」という作品がある。この漫画は82年から83年にかけて白泉社のマンガ雑誌「花とゆめ」に掲載されたもので、2015年にネット上で話題となったことから宝島社で復刻され、今年2月に映画化されてヒットしているのだ。監督は「テルマエ・ロマエ」や「のだめカンタービレ」などの大ヒット作を手掛けた武内英樹さん。壇ノ浦百美役に二階堂ふみ、麻実麗役にGACKTという豪華キャストを起用。評判も上々だという。
この物語は東京都内の超有名進学校白鵬堂学院が舞台。生徒会長の壇ノ浦百美(二階堂ふみ)は都知事の息子という設定だ。埼玉県民は下等民族として描かれ、学校内でも埼玉県から通学してくる生徒は徹底的に差別される。また時代背景として埼玉県民は東京都に出かけるときには通行手形が必要で、この手形がないと埼玉県に強制送還されるなど過激な描写となっている。
この学校に帰国子女として転校してきた麻実麗(GACKT)が実は埼玉県出身であることをひた隠しにしながらも、裏では埼玉解放戦線の主要メンバーとして暗躍。最終的には生徒会長の壇ノ浦とともに逃避行をしながら千葉解放戦線などのメンバーと戦うというなんとも荒唐無稽なストーリーだ。
「埼玉県人にはそこらへんの草でも食わせておけ!」
「生まれも育ちも埼玉だなんて、おおおぞましい」
セリフもかなり尖っているが、80年代に描かれ、魔夜峰央自身が埼玉の所沢に住み、自虐をユーモアに昇華しているからこそ、「埼玉県人をバカにしている」とは受け取られなかったのだろう。
ディスられてばかりだった埼玉県は、自虐ネタをテーマに猛然と反撃を開始したというところだろうか。