冒頭の「3つの質問」はなぜダメなのか
さて冒頭の質問だが、就活生が聞くと、人事は次のように考えることがほとんどだ。
質問(1)「御社の年間休日は何日ですか?」→仕事の中身より先に、休むことばかり考えている。仕事のやる気はあるのだろうか?
質問(2)「TOEICは何点取っていれば大丈夫ですか?」→TOEICの目標点数はサイトに出ているのに、事前に見てないんだな……。
質問(3)「面接で、御社とライバル企業の違いを聞かれたら、私は何と答えるべきですか?」→なぜ、それを教えてもらえると思うのだろう? 自分自身でリサーチし、考えるべきことでしょう。
つまり、このような質問をすること自体、逆アピールになってしまう。それに気づかないことが残念である。
就活解禁日なのに、学生の意識が低い理由
前述のように、例年なら就活解禁日には意欲が高い学生が多かったが、今年はそうではない。その理由を考える上で、B社の人事のコメントが参考になる。
「大学3年生向けに、昨年6月にインターンシップ合説(合同企業説明会)に参加しました。そこでは、優秀な学生が多数でした。その後の10月では普通の学生が増え、1月になったら意識の低い学生が多数になってしまいました。来年度は、遅い時期の合説の参加をやめるかもしれません」
つまり優秀な学生ほど動きが早く、インターンシップ(就労体験)で企業と接触し、水面下で選考が始まり、一部はすでに内定を得ている。あるいは面接が始まっており、就活解禁後の合説には来なくなる。ゆえに3月1日の時点で意識の低い学生ばかりが目立ってしまったのだ。
またこの数年、インターンシップに参加する学生が増加し続けていることも、夏から冬にかけて全体のレベル感が下がっていく要因の一つだろう。
解禁1ヶ月前の段階で、40%の就活生が選考を受けている
この傾向はデータでも確認できる。
「キャリタス就活 2020 学生モニター調査結果」(2018 年12 月)によれば、大学3年の11月下旬の時点で「自分の中ですでに就職活動は始まっている」と回答した学生はなんと85.8%だ。始まった時期は「3年生の6月」という回答が多い。
つまり実質的に就活は昨年6月から始まっていたのだ。すでに半年以上経っていることを考えれば、消化試合の雰囲気になるのも自然な流れだ。
また19年2月の同調査では、2月1日時点で「本選考を受けた」学生は39.9%であり、「内定を得た」学生は8.1%(前年同期4.6%)と昨年比で倍増している。就活解禁の1ヶ月前の段階で、4割の就活生が面接などの選考を受けており、8%は内定を得ているのだ。3月1日解禁という就活ルールはすでに形骸化していることがわかる。