「フェルメールの時代には写真はありませんでしたが、彼は写真家に極めて近い感受性を持った芸術家でした。一度は歴史のなかで忘れられかけた彼が世界屈指の人気画家になったのは、そうしたことも関係していると思います」
こう語る美術家・森村泰昌さんの個展「モリメール あなたも『フェルメール』になれる」が、大阪・北加賀屋のモリムラ@ミュージアムで開催される。森村さんは自らが絵のなかの登場人物に扮して撮影するセルフポートレイト作品で知られる。展覧会ではフェルメールの絵をもとに制作した3作品とその関連資料や映像に加え、撮影に使用した部屋のセットを展示する。面白いのは、誰もがこの「フェルメールの部屋」に入り、自由に写真を撮ることができる点だ。さらに森村さんの制作スタッフが協力し、森村作品と同じ衣装と機材を使って本格的な変身を体験する特別プログラムもある。絵画の世界を空間として再現することで、17世紀のフェルメールが作品に込めた周到な「仕掛け」をリアルに体感できるという。
「この展示はフェルメールの時代に戻るタイムマシーンのようなものです。部屋のセットのなかで絵のモデルと同じポーズをとっても、どうしてこれでフェルメールの絵になるのか、すぐには理解できません。しかし画家の視点から撮った写真を見ると、ちゃんとフェルメールの絵になっていることに誰もが驚きます」
INFORMATION
「モリメール あなたも『フェルメール』になれる」展
3月15日~6月30日
https://www.morimura-at-museum.org/