「医者が『できないわが子』を入れる」という触れ込みで注目される医学部専門予備校がある。「京都医塾」。ホームページを開くと、2018年度医学部合格率は81%とある。新聞広告にも「2018年度医学部合格率81% <医学部志願者 59名受験 48名合格>」と掲げられている。

ここ20年で医学部の人気は上がり続け、どこも難関化している(※写真はイメージです) ©istock.com

新聞広告の合格率は1次試験の数字だった

 近年の医学部人気で、医学部はどこも難関化が進んでいる。倍率10倍、20倍は当たり前。その医学部入試において、驚異的な合格率だ。どのような指導をしているのかは、下記記事に詳しい。

■絶対に医学部合格…!?医者が「できないわが子」を入れる壮絶予備校(現代ビジネス)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59717

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 生徒と講師が1対1の個別指導が基本。生徒ごとにカリキュラムを完全にフルオーダー。小学生レベルの学力しかない生徒も多いのに、そこから1日14時間、文字通り手取り足取りの指導で医学部に押し込む。当然生徒の大半は浪人生だ。

「年間授業料の目安」は約460万円、諸費用も加えると500万円強にもなる。しかも1年で合格とは限らない。2年、3年かかることもざら……。なるほど、ホームページには、入塾時の平均偏差値48が卒業時62まで上がるとあるが、1年でそこまで上げるとは言っていないのだ。

 さらに、よく調べてみると、81%という合格率は、1次試験の合格率であることがわかった。2次試験の合格率は59名中36名合格の61%だと、「京都医塾」自身が2019年2月某所で行われた塾・予備校の合同セミナーで発表している(現在全国のほぼすべての医学部で1次試験と2次試験が行われている)。

 合格率30%の受験生でも3年連続で受ければ、理論的には全滅の確率は0.7×0.7×0.7=0.343で、34.3%。約65%の確率で合格できる。

読売新聞に掲載された「京都医塾」の広告。「医学部合格率81%」を謳う