小学生を飽きさせず、テンポよく楽しませるために
実際に交流活動を見せてもらって感じたのが、高校生たちのコミュニケーションスキルの高さと、進行能力の秀逸さだ。
子どもたちは最初から野球そのものに大きな興味を持っているわけではない。だからこそ、ひとつひとつの種目でいかに飽きさせずにテンポよく楽しんでもらうのかが重要だ。また、年齢も小学校低学年から高学年までばらつきがあり、それぞれが楽しめる形にしなければならない。これは想像以上にハードルが高い作業だ。
まずはみんなでストレッチをして、ウォーミングアップを行う。ここではミニハードルを活用してサーキット的な動きを通して身体を暖めさせていた。単なるジョギングではなく動きをつけることで、子どもたちも楽しみながらアップができていた。
それが終われば今度は重ねた段ボールを的に見立てて、スローイング。それと並行して、ナイロンボールを使ったトスバッティングも行っていた。子どもたちに野球の入り口を提示しつつ、それぞれの種目に得点をつける……ゲーム性を与えるためにじつに上手く考えられているのだ。
「グループ、2つに分ける?」「ボール、足りてる?」
「そろそろ種目を変えないと飽きるぞ」
「グループ、2つに分ける?」
「ボール、足りてる? 少なかったら言って!」
そんな言葉が高校生たちの間で飛び交う。みんなが能動的に動くことで、子どもたちとのコミュニケーションも欠かさない。
「あと10秒で種目を変えよう」
「こっちの列の人はバッティングをやろう」
そんな風に時間を区切りながら、子どもたちを盛り上げていた。
最後はゲーム形式のチーム対抗戦だ。
ただ、通常の野球とは少しルールを変え、捕ったボールに守備陣全員が集まるまでにどれだけ進塁できたかを競う形に変更。そうすることで、低学年から高学年まで平等に楽しめるように工夫がされており、チームとしても団結して楽しめるようにできていた。