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表も裏も……平成スワローズの歴史を31冊のファンブックで振り返る

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/04/29

 いよいよ明日、「平成」が終わる。来るべき「令和」を目前に控え、僕は改めて「平成ヤクルト史」を噛み締めている。1989(平成元)年から、2019(平成31/令和元)年までの31年間、ヤクルトもまた山あり谷ありの歴史だった。

 昭和の終わりから平成の始まりにかけて、ヤクルトを率いていたのは関根潤三御大だった。当時でさえ「御大」だと思っていたけど、あれから30年以上が経過、今では「超御大」と呼びたい。ヤクルト史の偉人として、関根さんにはいつまでも長生きしていただきたいと切に思う。そして、平成の終わりから令和の始まりにかけては、小川淳司監督がヤクルトを指揮している。関根監督が、現役時代の小川さんに大きな期待を寄せていたのも、今となっては懐かしい思い出だ。

平成ヤクルトは六度のリーグ制覇と四度の日本一に!

 懐かしい気持ちのまま、僕は書庫に向かう。そこには、「ヤクルトファンブック」が年代順にきれいに並んでいる。試しに、平成最初の年である「1989年版」を取り出してみる。表紙には当時、「イケトラコンビ」として人気絶頂だった、池山隆寛と広沢克己(広澤克実)の爽やかな笑顔が写っており、神宮球場電光掲示板には、しっかりと「平成元年」という文字が刻まれている。ページをめくると、「ミスタースワローズ」若松勉はまだ現役だし、「ミスターオープンスタンス」八重樫幸雄も、「ミスター初球見逃し」杉浦享もユニフォーム姿ではつらつとプレーしている……。

「イケトラコンビ」として人気絶頂だった池山隆寛 ©文藝春秋

 ……気がつけば、続く「1990(平成2)年版」「1991年版」と次から次へと手に取り、あっという間に数時間が経過していた。野村克也監督を招聘した90年代、ヤクルトは黄金時代を迎えていた。ノムさんが監督だった92年は14年ぶりのリーグ制覇を果たし、93、95、97年には日本一に輝いた。1970年生まれの僕にとっての20代は、まさにヤクルト黄金期と軌を一にしているのだ。

 ノムさん時代の四度のリーグ制覇だけではなく、若松監督時代の01(平成13)年にも日本一となった。みんな忘れているかもしれないけど、記念すべき21世紀はヤクルトの日本一とともに幕を開けたのだ。また、真中満監督時代の15年にもリーグ制覇を果たした。ノムさん時代を含めると、平成ヤクルトは六度のリーグ制覇と四度の日本一に輝いている。このすべての胴上げシーンを僕は球場で見届けている。何と幸せな時代だったのだろう。平成、最高だったな!

1989年〜1996年のファンブック表紙 ©長谷川晶一
1997年〜2004年のファンブック表紙 ©長谷川晶一

平成31年間分の「全ファンブック」を一挙公開!

 ほんの軽い気持ちで手に取ったファンブックのバックナンバー。気がつけば、平成31年間分を読み耽ってしまっていた。ということで、文春野球読者のみなさまにも、懐かしき日々を体感していただきたく、平成元年から31年まで、全31冊の表紙をご覧いただきたく思う。ということで、仕事をほっぽり出して、せっせせっせとスキャン作業。懐かしい表紙の数々に思わず目頭が熱くなる(誇大表現)。

 90年代前半は背番号《1》を受け継いだ池山隆寛がしばしば表紙となり、94(平成6)年のつば九郎誕生以降は、95、96、97、98年と5年連続で表紙を飾っている。その後は「複数スター制」の時代となり、古田敦也、岩村明憲、五十嵐亮太、青木宣親、宮本慎也、石川雅規、由規など、そのときどきのスター選手が並んでいる。

 毎年、中面に掲載されている「新入団選手紹介」コーナーは実に味わい深い。「こんな選手いたっけ?」という、まったく記憶にない選手がいる一方で、「ハタケ(畠山和洋)、こんなに初々しかったんだ(笑)」とか、「川端慎吾は、まさにプリンスだな」と、その美青年ぶりに改めて驚いたり、いちいち面白く読んだ。

 あるいは、表紙にはプレイングマネージャー時代の古田さんの姿もあれば、高田繁、小川淳司、真中満ら歴代監督の雄姿もしっかりと記録されている。ファンブックの表紙は時代を移す鏡なのだ。強いときもあればクソ弱いときもあった。特に「平成29年」という年を、僕は一生忘れることはないだろう。そう、「96敗」というあの屈辱の日々を。しかし、すべては歓喜の瞬間への伏線なのだ。あの苦難の1年があればこそ、輝かしい令和の時代が待っているのだ。

2005年〜2012年のファンブック表紙 ©長谷川晶一
2013年〜2019年のファンブック表紙 ©長谷川晶一