『めちゃ×2イケてるッ!』が終了して1年――総監督として、番組を作り続けてきたフジテレビ・チーフゼネラルプロデューサー片岡飛鳥氏のロングインタビュー。

「『めちゃイケ』をいかに作り続けてきたか」ということはもちろん、若きテレビマン時代の『オレたちひょうきん族』『笑っていいとも!』、ウッチャンナンチャンやSMAPとの出会い。そしてインターネットが台頭するなかで、テレビの明日をどう考えているのか?……まで。

 丸1年に渡るオファーで実現した独占取材。人気のテレビっ子ライター・てれびのスキマさんがじっくり聞きます。(全11回の1回目/#2#3#4 、#5#6#7#8#9#10#11公開中)

フジテレビ・チーフゼネラルプロデューサー片岡飛鳥氏

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最終回のあとに配り歩いた「300枚の金メダル」

<2018年3月31日、フジテレビの土曜夜8時におよそ22年間、君臨した『めちゃ×2イケてるッ!』が最終回を迎えた。片岡飛鳥はその総監督として、番組を作り続けてきた。まずは『めちゃイケ』終了後、片岡自身がどんな風に過ごしてきたかを回想してもらった。>

 いろいろな階層がありますね。昨年4月はさすがに抜け殻状態のようになっていて(笑)、そこから抜け出して、ちょっとずつ意識が戻って……。実は3月31日の放送が終わった後、個人的に会った『めちゃイケ』のメンバーというのは誰一人いないんです。ただ、長寿番組が終わるときって何か記念品を作って演者、スタッフみんなにプレゼントするっていう慣習があるんです。『笑っていいとも!』でも『SMAP×SMAP』でもあったんですけど。昨年の2月頃にスタッフから「ウチの記念品どうしますか?」って聞かれて、その時は最終回の収録に向けて必死だったから「そんなこと考える余裕ないんだけど……」と思いながらも、感謝の気持ちを示すためにも、みんなが忘れないような記念は残しておこうと思って。

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 その頃、ちょうど平昌オリンピックをやっていたこともあって、金メダルを作ったんです。金メダルというのは基本、記録を残した人のために世界に1枚だけあるものじゃないですか。でも、『めちゃイケ』という番組はたぶん視聴率という記録的な評価はあまりされてないと思うんです。よく言えば「記録」よりは「記憶」に残るタイプの番組。だから、その記憶に携わった人たち全員を称えるための金メダルを渡そうと作ったんです。世界に300枚の金メダル。それを僕の“意識が戻った”5月末頃から1ヶ月ぐらいかけて自分で配り歩いてました。

 本来は番組が終わる時点で渡すのが普通ですけど、その金メダルもオリンピックみたいに重くて厚いやつじゃないと面白くないと思ったんですよ。スタッフが調べたら、ちゃっちいメダルで良ければ春に間に合うけど、オリンピックレベルのメダル(笑)を作るのには3ヶ月以上かかる、と。じゃあ1人ずつ名前も刻印したいし、時間がかかってもいいからごっついやつを作ろうということになって、渡すのがすごく遅くなっちゃったんです。

『めちゃイケ』に携わった人たちに配られた「記録より記憶」の金メダル(直径10cm、厚さ0.7cm、重さ380g)。稲妻のモチーフは番組初期のアイコン  ©フジテレビ