今年も桜前線が日本列島を縦断する季節になった。

 花見をするにはどこがいいだろう。どうせなら日本一の桜並木の下を歩いてみたい、と思う人がいるかもしれない。

 ところが、桜並木の「長さ」を競い、「世界一」や「日本一」を名乗っている自治体が3つもある。青森県弘前市、埼玉県さいたま市、岐阜県各務原(かかみがはら)市だ。

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「世界一の桜並木」を自称する弘前市岩木町

 樹木は人の手で植えられて初めて並木になる。3市で最初に植樹を始めたのは弘前市だ。正確に言えば、2006年の平成合併で同市に加わった旧岩木町(いわきまち)である。 

岩木山麓桜並木

 旧岩木町は1955年、昭和合併でできた。その30周年を記念し、85年から岩木山麓に住民参加でオオヤマザクラを植えた。霊峰として知られる岩木山だが、「『ただ木があるだけで、観光的には何もない』という声が町民の間にありました。それをくみ取る形で町が植樹を行ったのです。ソメイヨシノではなくヤマザクラにしたのは、山だからという程度の理由でした」と、岩木山観光協会の小山伸吉事務局長は振り返る。

 昭和合併40周年までの11年間で、20キロメートルに6500本を植え、「世界一の桜並木」と称した。