1泊10万円を超える超高級ブティックホテルもオープン
18年になると小田急電鉄系のUDSが運営するホテルローカス(100室)やフェリスヴィラスイート伊良部島・佐和田(8棟)、森トラストと外資系ホテルのマリオット・インターナショナルが運営するイラフSUIラグジュアリーコレクションホテル沖縄宮古(58室)などが続々とオープンした。
今年はさらにトレーラーハウスを利用したグランピングリゾートから1泊10万円を超える超高級ブティックホテルまで様々なカテゴリーのホテルのオープンが控えている。
ホテル開発ラッシュは留まるところをしらない。特に下地島に隣接する伊良部島は大人気。島内のあるリゾート予定地では、せいぜい坪あたり2000円だった土地が、現在は坪あたり100万円で取引されており、わずか数年で地価は500倍に跳ね上がったという。島の海岸という海岸が東京などの大資本に買い占められ始めている。
工事現場の日当が5万円を超えた
短期間にこれだけの開発計画が持ち上がった結果、島の景気は活況となった。建設資材などはほとんどが島外から運び込まれるのだが、建設計画が多すぎて資材の搬入が間に合わない。資材だけではない。建設作業員が全く不足してしまった。通常建設作業員は日当も安く、島の中だけで調達できてきたのだが、人手不足からコンクリート型枠工の日当は5万円を超えた。この金額は東京の工事現場の2倍に相当する。この金額につられて、大阪や東京から建設作業員が飛行機に乗って現場にやってくるという、信じられないような光景になっている。
島にやってくる作業員たちは、島のアパートを借りる。ところがアパートは新設されたホテルの従業員や好景気を当て込んで雨後の筍のようにオープンした居酒屋のバイトやキャバクラの女の子たちで満杯。これに最近とみに増えた移住者たちのニーズが重なって全く空室がないという異常な状況に陥っている。実際に島の賃貸マンションの家賃はワンルームで3万円程度だった相場がここ4、5年の間に5万円を超えるに至っている。
島の不動産屋はさぞかし儲かっているかと思いきや、空室がないためにせっかくやってくるお客さんに紹介できる物件が払底してしまい、商売あがったりの状況だという。中には新築でできるマンションの完成を待ち焦がれて簡易宿所に寝泊りしている移住希望者まで居るという始末だ。
そして問題が深刻なのが、この状況がすべて、まだ「みやこ下地島空港」がオープンする前の姿であることだ。三菱地所の目論見通りであれば20年度にはさらに30万人が加わる。宮古島では島内一の港である平良港に20年度までに15万トンまでの大型クルーズ船が接岸できる埠頭が建設中だ。17年度で大型クルーズ船から平良港に降り立った外国人観光客は36万人。空、海での迎え入れはこれからも大幅増が予定されている。