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 加えて、島内には台湾の長栄大学が分校を開校する計画が着々と進んでいる。18年11月には分校の開設準備室にあたる日本教育センターが開設された。計画ではこの大学に年間1000人程度の学生が派遣されるという。賃貸アパートやマンションなどいったいどれだけ作れば、際限なく増え続ける需要を吸収できるのであろうか途方に暮れてしまう。

「台風の島」に建設される木造の賃貸アパート

 バブルに踊る島では新たに商売をする者が現れる。最近、島の活況に目を付けた東京方面のある業者が島で買い漁った土地に、5年間にわたって賃貸アパート130棟、簡易宿所70棟、計1500室相当を200億円の事業費で建設することをぶち上げた。そしてこのうちの7割を個人投資家などに向けて投資用不動産として販売するという。

 宮古島の家は、沖縄の他の島と同様、そのほとんどが石造りだ。ところがこの業者は建設費を安くし、工期を短くするためにすべて木造にするという。それだけ島での需要は逼迫しているのだ。

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 だが、島の人から見れば「島のことを何にもわかっちゃいない」という。宮古島は台風銀座と呼ばれるように毎年大型の台風が島に来襲する。台風による強風は東京で経験するようなレベルではなく、命の危険を感じるほどだという。

「木造だなんてあんた、まあ家ごと吹っ飛ばされるのと違うか。まるで三匹の子ブタだぜ」

 と冷笑する。

 たしかにシギラリゾート内に残る「うえの文化ドイツ村」では、木造のチケット売り場が台風で2階部分が吹き飛び、なんとも妙な形の建物になって残っている。

 多くのよそ者が出入りし、島のことをよく理解せずに「やらかし」をすることで島の平和は今後も保つことができるのであろうか。

宮古島まもる君は島を守れるのか

 宮古島がまだのどかな「田舎」だったころのことだ。宮古島の主要道路の道端に建つ警察官マネキンが話題になったことがある。マネキンの警察官はドライバーが本物と間違えてあわててスピードを落とす、注意深くなるなどの効果を狙って、一時は全国に広まった。ところが96年に設置された、ここ宮古島のマネキンは、警察官の顔が白粉を塗ったように真っ白で赤い唇が妙にシュールで、これが「キモイ」ということで、全国的に話題になったのだ。しかも“彼”には「宮古島まもる」という立派な名前がついている。

宮古島まもる君 ©時事通信社

 この宮古島まもる君は島では知らぬ人がいない人気者。島内で現在確認されるだけで19体が道端で警護にあたっているが、これらはみんな兄弟や親戚でそれぞれに「すすむ」「こうじ」などの名前が付けられている。またこれとは別に「まる子」という妹も1体存在する。最近では「リアルまもる君」も登場する人気ぶりだ。

 リアルまもる君

 2009年には島出身のシンガーソングライター下地暁さん作曲の「宮古まもる君のうた」が、地元ローカルユニットの少女パニパニJrのデビュー曲となり、翌年には携帯着うたサイト「沖縄ちゅらサウンズ」で10週連続1位にも輝いた。かわいい少女2人がステージで踊ると島の人たちも一斉に踊りだす。まもる君は島のヒーローなのだ。

 さて、バブルの匂いに引き寄せられて多くの怪しい輩が跋扈し始めた宮古島。島のヒーローまもる君は果たして島を守ることができるだろうか。島の動向に目が離せない。

 

※タイトルを一部修正致しました(2019年4月2日10時37分)