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連載『めちゃイケ』、その青春の光と影

「ブスをビジネスにする――光浦靖子は発明をした」『めちゃイケ』片岡飛鳥の回想

フジテレビ・片岡飛鳥 独占ロングインタビュー#6

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今のフジテレビにはもっと“変な番組”が必要

<2011年以降、フジテレビには逆風が吹き、視聴率などが急降下していった。それに伴って、フジテレビらしいチャレンジングな番組が減ってしまったように映る。その現状について片岡飛鳥は何を思っているのか。>

 テレビっていうのはブランド商売だから、そこを戻すには新たなブランド性があって、新たに顧客の信用を得るしかない。ただしその打開策は「そこそこ面白い番組をつくって、そこそこの視聴率をとりにいく」ってことではないんだと思うんです。なんというか…当たり外れはあるだろうけど、もっと“変な番組”が出てくることが必要。

 ちょっと前にやってたウチの萩原(啓太 ※3)がつくった『人生のパイセンTV』って頭おかしかったじゃないですか(笑)。一見すると「何この番組?」って。そんな演出家の個性というか、目線を感じるようなテレビがひとつのキッカケなんだと思います。彼が作る『アオハルTV』がまた始まってますけどね。彼らしい“変な番組”になったらいいなと思います。

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金曜23時から放送の『全力!脱力タイムズ』。キャスター有田哲平と全力解説員たちによる一風変わったニュースバラエティ ©フジテレビ

 他に“変な番組”ですか…? あ、『全力!脱力タイムズ』はかなり頭おかしいですよね(笑)。(名城)ラリータ(※4)の仕業なんですよね? でもそういうテレビを見て、たとえば1人の高校生が「自分もフジテレビに入って面白い番組を作りたい」って思うんじゃないですかね? 就職の時の話(→#2)ともつながりますけど、そういうことこそがブランドとしての未来というか。『水曜日のダウンタウン』なんてまさにそのタイプで、TBSにとっては無形の価値みたいな番組だと思いますけど。

「まだ28歳のディレクターに『とぶくすり』なんて“変な番組”をやらせてくれたフジテレビに感謝ですよね」。その結果として『めちゃイケ』を作り続けてきた片岡の言葉だけに強く印象に残った

#7 「『めちゃイケ』はヤラセでしょ」という批判 フジ片岡飛鳥はどう考えてきたか へ続く

#1 『めちゃイケ』片岡飛鳥の告白「山本圭壱との再会は最後の宿題だった」
#2 「岡村さん、『めちゃイケ』…終わります」 片岡飛鳥が“22年間の最後”を決意した日
#3 「早く紳助さん連れて来いよ!」 『ひょうきん族』で片岡飛鳥が怒鳴られ続けた新人時代 
#4 「飛鳥さん、起きてください!」 『いいとも』8000回の歴史で唯一“やらかした”ディレクターに
#5 「160cmもないでしょ?」『めちゃイケ』片岡飛鳥と“無名の”岡村隆史、27年前の出会いとは

#8 「加藤のマラソンが間に合わない…」『27時間テレビ』片岡飛鳥がナイナイの前で泣いた日
#9 「僕が岡村を休養まで追い詰めた…」『めちゃイケ』片岡飛鳥の自責と“打ち切りの危機”​​
#10 「最高33.2%、最低4.5%」『めちゃイケ』歴代視聴率のエグい振り幅――フジ片岡飛鳥の告白
#11 「さんまさんを人間国宝に!」ネット時代にテレビディレクター片岡飛鳥が見る“新たな光”とは?

※1 本田みずほ…1973年生まれ。吉本興業所属の女芸人。93年から始まった『めちゃイケ』の前身となる深夜のコント番組『とぶくすり』のレギュラーに抜擢される。アイドル風のルックスで「西のキョンキョン」などと呼ばれ、当時はナインティナイン、よゐこ、極楽とんぼ、光浦靖子というメンバーの中でももっとも知名度の高いタレントだった。
※2 小松純也…1967年生まれ。『ダウンタウンのごっつええ感じ』、『笑う犬シリーズ』などの演出を担当。この春、フジテレビを退社しフリーディレクターに。『チコちゃんに叱られる!』や『人生最高レストラン』などを手がけている。片岡とはお互いが若い頃からの同僚で、一時は管理職としても机を並べた盟友である。
※3 萩原啓太…86年生まれ。愛称は「マイアミ・ケータ」。演出を手がけた『人生のパイセンTV』ではチャラいナレーションやド派手なテロップが話題に。現在は『アオハルTV』(日曜21時)を担当。
※4 名城ラリータ…76年生まれ。『SMAP×SMAP』でキャリアを積み、ディレクターとして『ココリコミラクルタイプ』、『オモクリ監督』などに参加。『全力!脱力タイムズ』(金曜23時)では総合演出に。

聞き手・構成=てれびのスキマ(戸部田誠)
写真=文藝春秋(人物=松本輝一)

「ブスをビジネスにする――光浦靖子は発明をした」『めちゃイケ』片岡飛鳥の回想

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