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「自分の価値って何なんだろう」って泣いた日も

──乳がんを公表したことで、時に悔しい思いをしたこともあったそうですね。

矢方 SKE48を卒業してからは、責任が全部自分一人にかかってくるので、「なぜ自分がこの仕事をさせてもらえるのか」「どういうことが求められているのか」ということをより深く考えるようにしていました。でも、乳がんを公表してからは「乳がんになってがんばっている元SKE48の矢方美紀さん」みたいな取り上げられ方をすることが増えて、「病気だから取りあげられているだけ」「アイドル時代より注目されている」みたいな書き込みを見つけて落ち込んだことや、自分の価値って何なんだろうって、毎日泣いていたことも、実はありました。

 そんな中、仕事で出会った方たちや友人から「美紀ちゃんにしか伝えられない経験もある。確かに『病気』はきっかけかもしれないけれど、そこからまた一緒に仕事をしたいと思って次の機会につながるのは、『病気だから』っていう理由じゃないと思うよ」と励ましてもらうなかで、だんだん自信を取り戻すことができたんだと思います。

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──最近は、心機一転ひとり暮らしを始めたそうですが、治療中という状況で、ご家族から反対されませんでしたか?

矢方 最初は「何もできないくせにひとり暮らしなんて」とものすごく反対されました。「彼氏と同棲でもするならまだしも、相手もいないくせにお金がもったいない」とまで言われ、悔しいから絶対ちゃんと生活しようと決めて、今ほぼ毎日自炊しています。時々母が心配して様子を見に来てくれるのですが、意外に私がちゃんとしているので、安心しているみたいです。

 

──以前、イベントで「好きな人もいます。片思いです」と発言したことが話題を呼んだこともありましたね。

矢方 進展はなんっにもないです(笑)。それどころか、家に来た男の人って、宅配便の業者の方とロケに来たNHKの「#乳がんダイアリー」を担当しているディレクターさんだけで……。それって「家に来た」のレベルじゃないですよね。

──そうだったんですか(笑)。

矢方 ひとり暮らしを始める時に、マネージャーさんから「友達もたくさん来ると思うから」と、プレゼントしていただいたたこ焼き器も、まだ一度も使ったことがないんですよ。ホームパーティーができるように、グラスや食器も10人分くらい用意してありますし、いつどういうタイミングがあるかわからないので、料理ができるというアピールはしていこうと思っています(笑)。