1年前、乳がんになったことで、当たり前の幸せや家族の大切さを再認識したという元SKE48の矢方美紀さん(26)。ブログでの公表をきっかけに活動の幅も広がった中で、「病気だから取りあげられているだけ」などという声に傷ついて涙した日もあったといいます。もし、矢方さんが1年前の自分に声をかけるとしたら。現在の心境を聞きました(全2回の2回目、#1から続く)。
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「人生何が起こるかわからない」と強く感じた1年
──矢方さんが乳がんを公表してから1年が経ちました。矢方さんにとって大変な1年だったと思いますが、少し客観的にみられるようになりましたか。
矢方 この1年って、「人生何が起こるかわからない」と強く感じた1年でした。自分のこともそうですが、今まで当たり前にテレビや映画で見ていた俳優さんが亡くなったり、新しい元号が決まったり。「永遠ってないんだな」と思わされることが多くて、限られた時間や出会いに感謝して大切に過ごさないといけないと、ますます強く思うようになりました。
──1年前の自分にどんな言葉をかけてあげたいですか。
矢方 病気だとわかったばかりの頃は、スマホで病名を調べて落ち込む、みたいなこともありました。そういう時って、どんなに検索してもマイナスのワードしか目に入らないんですよね。そしてさらに落ち込む……みたいな悪循環で。1年前はわからないことばかりで、できなくなることや失うものばかりを心配して悲観的になっていましたが、実際にいろいろ経験してそうじゃないこともわかってきました。考え方ひとつで不可能はいくらでも可能になるので、そのことを1年前の私や、私と同じように悩んでいる方に伝えていきたいです。
──インターネットの使い方も変わったそうですね。
矢方 調べる目線というか、ものの見方が変わった気がします。ツイッターやブログのコメントで「ラストケモ」という言葉を使っている方がたくさんいた時に「ラスボス」みたいなものをイメージして検索したら何も出てこなくて。診察時に先生に聞いたら「最後の抗がん剤(ケモセラピー。化学療法のこと)を『ラストケモ』と略して使う方が多いらしい」と聞き、意味が分かって安心したことがありました。
薬の名前は結構インパクトが強いので、「ドセタキセル」という抗がん剤に「ドセ様」というあだ名をつけて会話している方も多くいて、「#ラストケモ」「#ドセ様」で検索すると本当にたくさん出てきます。そういうのを見ると、こんなにたくさんの方が治療しているんだなと励みにもなりますし、私も誰かの励みや希望になれたらいいなと思って、同じハッシュタグをつけて投稿したりしています。