4月4日の夜、韓国の東北地域、山が多い江原道(カンウォンド)で山火事が発生した。当日は乾燥警報と強風特別警報が発表されていたため火は瞬く間に広範囲に広まり、付近の束草(ソクチョ)市や高城(ゴソン)郡まで被害が及んだ。この山火事によって1700ha以上の面積が焼失し、死亡2人、負傷11人の被害が発生した。この際に避難した人の数は、一時的な避難者を含めて4000人を越えたと報道された。

 この山火事に関する報道が行われていた時、日本のSNS上で注目を集めた1枚の写真がある。「希望ブリッジ」(韓国の全国災害救護協会)と「ロッテ」のロゴが入った四角テントが避難場所である学校の体育館に設置された写真だった(SNSで拡散された写真はこちら)。

 決して快適ではない避難生活で最低限のプライバシーと安全を守るために設置されたテントだったが、これが日本のSNSで話題になったのは、日本で地震や台風、大雨などの災害が起きたときの日本の対応とは何かが違う、もっと言えば、韓国の対応のほうが、自然災害が多い日本の対応よりも優れているのでは、という違和感からであったのだろう。

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山火事の被災者を訪ねる文在寅韓国大統領 ©Aflo

日本から学び続けてきた韓国

 しかし、韓国の被災者支援がこれほどまでに充実しだしたのはごく最近のことである。では、何が韓国の対応を変えたのであろうか。

 元から韓国では、最も近い先進国として、日本における社会問題に対する様々な施策や対応などが紹介されてきた。特に地震、火山、津波など自然災害が多い日本では、対応マニュアルや関連制度などが早くから整備されていたため、メディアによる報道も盛んに行われていたのである。

 また、国・自治体レベルの議員や官僚・公務員はもちろん、市民団体などが施策や対策を直接見るために日本に訪れた。首都である東京や東日本大震災の被災地はもちろん、(1)大規模災害を経験している、(2)災害時の地方自治体としての役割を学ぶことができる、(3)その後の災害対策と復興状況を見られるとして兵庫や熊本などにも多くの研修団が訪れて日本の施策を学んだのである。