北海道・十勝を舞台にした、広瀬すず(20)がヒロイン・なつを演じるNHK朝の連続テレビ小説「なつぞら」が最高視聴率を更新中(4月17日に23.6%)。放送開始当初から話題となっているのが、ウッチャンこと内村光良(54)の“語り”だ。まだ内村は登場こそしていないが、戦争で亡くなったなつの父親役という設定で、奮闘する広瀬に毎朝エールを送っている。

「もっと声張って元気にいっちゃってください」

増田明美 ©文藝春秋

“語り”は朝ドラの見所のひとつ。“語り”を務めたことのある4氏に、当時の思い出と、忘れられない“珠玉の語り部”は誰だったかを聞いた。

 2017年の「ひよっこ」の語りに大抜擢されたスポーツジャーナリストの増田明美氏(55)は、半年間、大好きなお酒を控えたという。

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「選手のときは脚さえ痛めなければと思って、脚だけ大事にしてたんです。でも、この語りのときは脚なんてどうでもいい、とにかく口内炎にだけならないようにと体調に気をつけました。スタジオで1週間分をだいたい1時間半くらいで録るんです。物語の邪魔しちゃいけないと思っていたら、ディレクターさんに『もっと声張って元気にいっちゃってください』って言われて、いつもテンションを上げてやっていましたね(笑)」

亡くなったお父さんの声が天から届いてくるような

“語り”の大役を果すとNHKからの“朝ドラ特需”が待っていた。

中村玉緒 ©文藝春秋

「私のマラソン解説は小ネタが多すぎて、NHKからはそれまでお声が掛からなかったんです。でも、『ひよっこ』のおかげで、今ではNHKの駅伝の事前番組や『増田明美のキキスギ?』というラジオ番組をやらせていただいてるんです。本当にNHKの仕事が増えました。ずっと競争の世界にいたので、人の気持ちに寄り添って声を出すということをこれからの仕事でも大事にしたいと思います」

「声に表情がある人が好き」という増田氏が推す語りは次の3人。

「『ちゅらさん』(2001年)の平良とみさん(故人)の語りはドラマに入り込んでいて、あの声に生き様を感じました。温かみとおおらかさが舞台の沖縄にぴったりでした。『てっぱん』の中村玉緒さん(79)も独特の声に存在感があってよかったです。あと、やっぱり今作『なつぞら』の内村さんは上手いなあって。亡くなったお父さんの声が天から届いてくるような。彼女のことをずっと見守っている感じですよね。紅白歌合戦の司会も上手だし、天は二物を与えるんですね」