昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

落語の“地の語り”と似ていた

 人気アニメ「タッチ」で声優を担当し、2012年の「梅ちゃん先生」で語りを務めた落語家の林家正蔵氏(56)は、こう話す。

林家正蔵 ©林家正蔵

「大河ドラマ『真田丸』や、今回の『なつぞら』を手掛けている演出家の木村隆文さんと以前お仕事をしたことがありまして、たまたま私がナレーションをしていたドキュメンタリー番組をご覧になっていたようで、『今度撮る朝ドラと正蔵さんの持っている声の感じがとても合うので語りを引き受けてくれないか』という電話をいただいたんです。私は声優のお仕事も舞台のお仕事もしているんですが、語りということで、お仕事をさせていただくのはとても名誉なことだと思いました。

 落語の、会話の部分ではなく風景を描写したり、登場人物の気持ちの説明を語っていく“地の語り”と朝ドラの語りはとても似ていて、やっていておもしろかったです」

 ヒロインの夫役・松坂桃李(30)とはこんなエピソードも。

「飽きが来ない。それでいて、毎朝さわやかに気持ちよく皆さんがお仕事に出かけられるような、声色を意識したのは覚えています。毎日のようにモニターで松坂桃李くんを見ていたので、ある日、別の撮影所でお会いしたときにすごい親近感があって、思わず『桃李くん!』と私が声を掛けたら、『あっ、師匠!』という感じで返してくれました。打ち上げでしか会ったことがなかったのに、今でも仲良くしていただいてます」

 5月からはBS時代劇「大富豪同心」の語りも務めるという正蔵氏。オススメの語りは選びきれないという。「作品ごとに時代も設定も地域も違い、毎回、作品と声が合っているので、どの語りもすごい」。

ドラマの現場リポーター的な役割も

山根基世 ©文藝春秋

 元NHKエグゼクティブアナウンサーの山根基世氏(71)は「天花」(2004年)の語りを担当。ドラマのナレーションでは、2013年の大ヒットドラマ「半沢直樹」(TBS系)でも話題となった。

「大河ドラマのナレーションなんかはやっていたんですけど、朝ドラは初めてで、緊張感と責任を感じました。でも、語り手として認められたという名誉なことだとも思いました。語りはドラマの中の案内人というか、『ほらほら見て』と、ドラマの現場リポーター的な役割もありますし、主人公がどういう心理でいるのかをしっかり伝えることが大切ですよね。今でも後輩たちが読んでると、『がんばれー』とつい応援しちゃいます」