両陛下がお越しになったとたん、濃厚なオーラが
両陛下が車でお着きになると、緊張感は一気に高まる。まずは、室内に入ってこられる両陛下をリハーサル通り一斉にお辞儀をしてお迎え。その後、両陛下は順番に各団の代表の前にお進みになり、それぞれの団体ごとに地域や活動に関するご下問をくださる。ご会釈は、天皇陛下の「お元気で」と皇后陛下の「ありがとう」というお言葉で終了となり、最後に団長の代表が前に出て万歳三唱をして両陛下をお見送りする。両陛下の入室からここまで、およそ10分か15分くらい。なんの飾り気もない質素な空間が、両陛下がお越しになった途端に濃厚なオーラに包まれたのを、にぶい私でもはっきりと感じたものだ。
天皇としての最後のご会釈はいつも以上に柔和だった
ご譲位直前の4月16日から勤労奉仕に参加したという友人は、初日に天皇皇后両陛下のご会釈を賜った。「みんな感動して号泣した」とその興奮を語る。「天皇陛下は黒のスーツ、皇后陛下はグレーのロングドレスでした。代替わりを控えて、いつも以上に柔和な表情のように思いました」
お言葉自体はこれまでのご会釈と変わらないが、各団長から少しでも多くお話を聞こうとされているようにも感じたとその友人は話す。「どの団長とも笑い声が出るくらい和やかな雰囲気でした。陛下が何かおっしゃると、それに皇后陛下が話をつなげてくださるという感じで。穏やかで優しさに溢れた時間でした。お帰りの時は、陛下が車の上座から身を乗り出さんばかりに手をふってくださって、みんなさらに感動しました」
「宮内庁限定アイテム」を買う楽しみ
このご会釈だけでも「一生に一度」の貴重な経験だが、一般では買えない「宮内庁限定アイテム」の購入特典も、「勤労奉仕メリット」のひとつだといえる。実際、この「買い物」を勤労奉仕の楽しみにあげている人も多い(写真ページにて詳細を紹介)。
買い物は、説明を聞いたり休憩をしたりする「窓明館」内にある売店でできる。昼休み、作業終了後のわずかな時間が買い物タイム。クレジットカードの使用はできず、現金のみの扱いで、宅配便での配送もしてくれる。一番人気は菊の紋章入りの長財布だが、余った革で作るそうで、定番色のほか、その都度異なるカラーも販売されている。「皇居勤労奉仕」と明記されたしゃもじや茶碗などは、記念にと購入する人も多いそうだ。
客なのに、商品を受け取る時にありがたい感じがするのは、売店の職員さんの中に「定年退職するまで天皇陛下のお側に仕えていた」という方がいるのも関係しているのだろうか。