「最初は友達に銭湯にいってきたよとSNSで伝えたときに、メモ程度に描いたものでした。その絵が知らない人からも“いいね!”をいっぱいもらって、あ、見てくれる人がいるんだったら、もっとしっかり描こうという気持ちになったんです。それに実寸を測って細かく描き込んでいくと、大好きな銭湯を自分の手でつくりあげていくような喜びもでてきました(笑)」

 ネットにアップしていた、銭湯を上から覗いたイラストが話題になり、2月末に刊行した『銭湯図解』は、すでに3刷、2万5000部。著者の塩谷(えんや)歩波さんは、以前は設計事務所で働いていた。

塩谷歩波さん 写真・アベトモユキ

「その会社では教会の設計をしていて、仕事はかなり楽しかったのですが、自分をおいこみ過ぎちゃって、体がダウンしてしまいました。そんなときに、友人のすすめで銭湯にいったら、本当に体も心も軽くなっていったんです」

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 いまや高円寺の小杉湯に転職。回った銭湯は200軒、描いた銭湯は70軒以上という。そんな塩谷さんが銭湯の他に描いてみたいものは?

「建築学を学んだ大学院時代には、街並みについて調べていました。高円寺の路地やお店など、街の人々の交流の場を描けたらと思っています」

銭湯図解

塩谷 歩波

中央公論新社

2019年2月20日 発売