今年3月、大阪にとある新しい鉄道路線が誕生したと話題になった。「おおさか東線」の新大阪延伸である。大阪のみならず、東京などでもニュースになっていたから耳にしたことがある人もいるだろう。なんでも、おおさか東線の新大阪延伸によって奈良と新大阪が乗り換え無し約1時間で結ばれるようになったのだとか。そう聞いて、筆者もなるほどと納得して「便利になったのだなあ」などと思ったものである。
「おおさか東線」どんな人が乗っている?
ただ、よくよく考えてみると、奈良と新大阪が乗り換え無しで結ばれるというのはどこまで便利なのだろう。東京方面から奈良観光に行くならば京都駅で新幹線からJR奈良線か近鉄京都線に乗り換えれば済むこと。奈良市民にとっても東京方面に行く際はルートが真逆になるだけで同じことだ。わざわざ新大阪まで出向く必要はない。それにそもそも新大阪と奈良を直通で結ぶ列車は1日4往復の「直通快速」だけ。平日は朝の新大阪行と夕方・夜の奈良行という通勤を意識したダイヤ設定になっている。
なんとはなしに「便利になった」と思わせるおおさか東線の新大阪延伸だが、実際はどうなのだろうか。どんな人が乗っているのか、そしてどのような路線なのか。百聞は一見にしかず、というわけで平成も残すところ数日という4月のとある平日、実際におおさか東線に乗ってみた。朝7時35分奈良駅発新大阪行の「直通快速」である。
おおさか東線に乗ってみた、と言ってもこの「直通快速」は最初は大和路線(関西本線)を走る。ほとんどの列車は天王寺駅を経由して大阪環状線に直通、そのまま大阪駅や京橋駅までを結んでいる。それに対して「直通快速」は久宝寺駅からおおさか東線に入るのだ。