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2019/05/13

genre : ニュース, 社会,

「おおさか東線」のルーツは貨物路線だった

 実は、この神崎川手前で分かれていく古い線路こそ、おおさか東線のルーツを教えてくれる線路なのである。今でこそおおさか東線という名前で旅客電車が行き交っているこの路線、もとを辿れば貨物列車のための路線であった。その名も「城東貨物線」。東海道線沿線にある吹田貨物ターミナルから南に分岐して、新大阪も大阪も経由せずに大阪市南西部にある百済貨物ターミナルまで(正確には百済貨物ターミナルに近い平野駅)を結んでいる。

 東海道線と関西本線を大阪市の中心部を通らずに連絡して貨物輸送を効率化するために建設された路線で、1930年代に開業した。その後、長らく貨物列車だけが走る路線であり続けたが、1990年代に入って旅客路線化が具体化して改良工事が始まり、2008年に放出~久宝寺間が、そして今年に入って新規建設区間を含めて新大阪~放出間が旅客路線の「おおさか東線」として開業したというわけだ。こうしたもともとの貨物路線が旅客路線化したというあたり、東京ならば湘南新宿ラインが走る山手貨物線や武蔵野線をイメージして貰えればわかりやすいかもしれない。

 と、少々ややこしい説明をしてしまったが、ともかくおおさか東線はもともと貨物列車専用の路線だったところを旅客列車も走れるようにして誕生、さらに新大阪まで延伸したというわけである。だから今でも貨物列車が走っていて、神崎川手前で東に分かれる線路のほうを通っている。ナゾの線路は、そうしたおおさか東線のルーツを辿る線路であった。

「今までは大阪駅で乗り換えだったので、便利になりました」

 さて、このあたりで「直通快速」の旅に戻ろう。と言っても、神崎川を渡れば南吹田駅を通り過ぎて、すぐに新大阪駅に。7時35分に奈良駅を発車して、新大阪着は8時31分。満員の通勤客がどっと降りて、ほとんどがそのまま改札口を出て新大阪駅周辺のオフィスビルへと消えていった。

1時間もしないうちに奈良駅から新大阪駅に到着

「奈良方面から新大阪だと今までは大阪駅まで大和路快速に乗ってきて乗り換えだったので、便利になりましたよね。混雑具合は……あまり変わらないんじゃないかな」とは新大阪駅で会社へ急ぐ通勤客の話である。

 おおさか東線、新幹線接続路線というよりは“通勤路線”としての意味合いが強いようだ。では、新たに開業した区間の沿線はどうなのか。せっかく新大阪駅に着いたが少しだけ戻って途中駅の様子を見てみることにした。