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下町グルメはネットで調べるな!

食のプロが教える「いま下町で行くべき店」怒涛の60軒! #3 

店ってフラッと入るのが楽しい

伴 知らない店に1人で飲みに行く場合、酒を飲みに行くのか、料理を食べに行くのか、雰囲気を味わいに行くのか、主目的はどれなんですか?

小石原 酒と雰囲気ですかね。料理は食べてみないとわかりませんから。前評判を知ってて行く場合もありますが、いきなりふらっとだと行き当たりばったりで決めます。最初に頼んだ生ビールがまずかったらすぐ出ますけどね(笑)。

楽しい立ち飲み(写真は「ニューカヤバ」) ©文藝春秋

大竹 やっぱり、店ってフラッと入るのが楽しいと思うんですよね。事前にネットとか食べログとかで調べちゃうと、情報を当て込んで行っちゃうというか、「この店はだいたいこんな感じ」みたいな情報が自然に頭に入ってたりするじゃないですか。そうすると、どこかで店を見定めるというか「ああいう風に書いてあったけど本当かな、本当にうまいのかな」という目線になってしまいがちになる。そんな感じで下町の店に入ってもおもしろくもなんともないので、だいたいの場所だけを頭に入れておいて、あとは店の外観でよし、ここにしようって入ってます。あまり行ったことのない下町に行った時、あの道のこっち側の道は曲がったことはなかったから行ってみようとか、そういうことを考えるとあと10年くらいは下町巡りを楽しめるでしょうね。探検みたいな感じですごくおもしろいですよ。

小石原 それってすごくわかります。先日、あてもなく清澄白河から森下を経由して錦糸町まで歩いたんですけど、すごく楽しかったです。

大竹 あと、居酒屋にふらっと1人で入る魅力は、業界の人もいないから誰にも気を遣わないで飲めること。そこにいる客がいつも行く店とちょっとタイプが違うなと思ったりするし。作業服の似合う兄ちゃんがいたら、この人かっこいいなあ、どんなやつなのかなあと思いつつ、その人と店の人との会話をぼんやり1時間くらい聞きながら酒を飲んでると楽しいんですよ(笑)。だから、僕は自分からは話しかけませんね。向こうから話しかけられたら話しますけど。

小石原 私も同じで、それを狙っては行かないですが、流れでお話して結果的に楽しかった、みたいな展開は割とあります。

大竹 ある場所へ行く時、その地域で歩いて移動できる範囲内に2軒くらいだけよさそうな店の目星をつけて行ってみる。両方よかったら、後日その界隈で仕事が終わった後、ここにいるならあの店に寄っていこうとなる。そういう店を土地土地に1軒ずつ見つけるという目標をもてば励みになるかなと。そうなったら絶対に飲み屋で困るということがなくなりますよ。

小石原 自分オリジナルの飲み屋マップを作るといいですよね。Google Mapsでお気に入りの店にピンを置いていくとか。

大竹 昔、新宿の飲み屋でテレビディレクターにびっしりと赤い点が打ってある地図を渡されて、「これは都心から日光街道沿いにあるものすごい古い酒場の酒場マップだから全部行きなさい」と言われたことがあります(笑)。

小石原 すごい、酒場五十三次だ(笑)。私は食べログの「行った」「行きたい」リストを使ってるんですが意外と便利ですよ。それに行きたい飲み屋や行った飲み屋を全部登録しておくと、その時いる場所から近い店はどこだろうと思った時すぐ探せるのですごく重宝してます。今日の座談会で皆さんからうかがったお店も全部登録したので楽しみです(笑)。

伴 僕も全部制覇したいと思っています。

小石原 まずは今晩からですね(笑)。

構成=山下久猛(フリーライター)

★まだまだある下町グルメ@編集部推薦
新味処山海(南千住)
コロッケからフグ、くずきりまである下町の居酒屋で、本文にある「丸千葉」の高級ヴァージョンのような店。
https://tabelog.com/tokyo/A1324/A132401/13079563/

洋食大吉(浅草橋)
洋食屋だが、刺身もうまく、酒のあても各種そろっているので、昼間から一杯やっつける客も多い。
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131103/13016916/

羊香味坊(御徒町)
神田の人気中国東北料理店「味坊」が御徒町に出した羊料理専門店。立ち飲みスペースもあり、気軽に楽しめる。
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13200566/

注文を受けてから作る「新味処山海」のくずきり
 

○小石原はるか 1972年東京生まれ。一度ハマると歯止めの利かないマニアックな気質と頑強な胃袋で、これまでにスターバックス、さぬきうどん、料理人、ホルモン、発酵食品などにどっぷりとハマってきた、人呼んで"偏愛系ライター"。著書に『スターバックス・マニアックス』(小学館文庫)、『麹の「生きた力」を引き出す本』(共著・青春スーパーブックス) 、『レストランをめぐる冒険』(小学館)、『東京最高のレストラン2017』(共著・ぴあ)、『自分史上最多ごはん』(マガジンハウス)など。


○大竹聡 東京三鷹生まれ。フリーライター。元「酒とつまみ」編集長。酒と酒場のことばかり書いている53歳。近著に『五〇年酒場へ行こう』(新潮社)『多摩川飲み下り』(ちくま文庫)など。


○伴一彦 脚本家。主なテレビ作品に『パパはニュースキャスター』『ストレートニュース』『喰いタン』など作品多数。「JKニンジャガールズ」舞台版が2月23日から、同映画版が7月17日から公開。ビストロ料理、タイ料理、坦々麺、赤ワイン好き。

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