そんなに大河ドラマの視聴率が気になるの?
夕刊紙・タブロイド紙だけではない。朝刊スポーツ紙も不思議な報道をしている。
「NHK大河『いだてん』18話1ポイント↑8・7%」(5月13日)
これは日刊スポーツのWEB記事だが「前回から1ポイントアップした」と克明に伝え、記事の最後には「これまでの視聴率推移」としてご丁寧に数字を並べて見せている。
何かに似てると思ったら「昭和天皇の下血報道」である。あれと同じだ。※ご存じない方はお調べください。
こういう数字の報道に何の意味があるのか。そんなに大河ドラマの視聴率が気になるの?
私は「いだてん」を録画してある程度溜まったら見ているのだが、どうしてもリアルタイムの視聴率が高くなきゃダメなの?
「時間かければジワッと」
最後に、「いだてん」関連でもっとも読ませたコメントを紹介する。
5月8日の毎日新聞夕刊にあった同志社女子大の影山貴彦教授(メディアエンターテインメント論)の言葉だ。
「今の社会は寛容さが欠けているとよく言われますが、同じ読み方で涵養という言葉があります。自然にじわじわとしみ込んでいくように育てる、という意味ですが、寛容と涵養が社会にもメディアにもないな、とつくづく感じています。短い時間で判断するのではなく、もう少しクドカンワールドのジワッとくる面白さを時間をかけて楽しんでほしい。噺家は客が育てる、というでしょう。いいドラマは視聴者が育てるんです」
このワイド特集の見出しは「NHK『いだてん』なぜ盛り上がらない? ユーモアとセンスのクドカンワールド 時間かければジワッと」。
締めは《マラソンには、ランナーたちのさまざまなドラマがある。「いだてん」も「短距離」ではなく「長距離」の視点に立てば、出演者や裏方の「汗」に感じ入ることができるかもしれない。》
この記事、オチもうまかったのである。
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