「黒髪ストレートでなければ恥ずかしい」という空気
前出の調査では、あなたがより身近に感じられるような項目も調査している。「黒髪で、かつ、直毛(ストレート)ではない人」の割合も同時に出しており、黒髪ではない人や、天然パーマやくせ毛の人は40%を占めるというのだ。
あなた自身(つまり過去のわたし)も結構なくせ毛で悩んでいるが、ここですこし、「縮毛矯正」「ストパー」でググってみてほしい。
中高生自身や、中高生の親から、「縮毛矯正」や「ストレートパーマ(ストパー)」をかける(かけさせる)かどうかで迷っている、という相談が多くある。その背後には、くせ毛のコンプレックスを解消するためという理由がある。
コンプレックスは、理想の自分との乖離というよりも「ふつう」との乖離によって生じるものだ。黒髪ストレートになりたーい!というよりは、「黒髪ストレートでなければ恥ずかしい」という空気があるのだろう。あなただって、40%の人が黒髪ストレートではないと知ったら、鏡の前でそこまで悪戦苦闘しなかったのではないか。
地毛証明書をめぐることがらは、「本当の茶髪や金髪の人」だけの問題でもなく、イキり陽キャだけの問題でもない。実はもっと深いところで、あなたが「ふつうではない」くせ毛に悩んでいること、毎朝ヘアアイロンと悪戦苦闘していることとも、実は繋がっているのではないか。
異議申し立てやズルを「わがまま」と感じないことは、あなたの自由を守ることにもなる
最後にもう一度言うが、私は「理不尽なことがあったら抗議しよう」と呼びかける立場ではない。異議申し立てなんかして大人や友達からどう思われるか不安だ、「意識高い(笑)」とか「いい子ぶってる」と思われるのが嫌だ、という不安はよく分かる。社会に対して何か「良いこと」をする気恥ずかしさのようなものもあるだろう。
だから、異議申し立てをする人に対して「わがまま」と感じるのを少しだけやめて、彼らがそういうことをする理由に想像をめぐらせてほしい。それだけでも、私たちの生きる社会はずいぶん風通しのいいものになるはずだ、と思う。