昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2019/05/24

 世論調査(リアルメーター)では62%が保釈に反対。さらに、申請のタイミングでも物議を醸した。ネットで世論を操作したといわれる「ドゥルキング事件」で逮捕され、一審で実刑を受けて拘置所にいた金慶洙慶尚南道・現知事が保釈された同じ日だったためで、「金知事が釈放されたのだから自身も世論に訴えようとしたかもしれないが重みが違う」(進歩派韓国紙記者)などと揶揄する声が噴出した。

 朴前大統領が弾劾、罷免された当時、80%を超える人が弾劾に賛成し、国会でも同じくほぼ8割の国会議員が弾劾案に賛成するなど韓国に漂う雰囲気は反朴槿恵一色だった。

 罷免されてからほどない2017年3月31日には逮捕され、拘置所へ。その後、裁判が続いていたが、その年の10月からは朴前大統領は裁判をボイコット。拘束期間は異例の計3回延長され、拘置所暮らしが続いていた。最近、ひとつの裁判で有罪判決が確定したが、複数の裁判を抱えているため刑務所ではなく拘置所に留まっている。

出廷していた頃の朴前大統領。2017年10月に裁判をボイコットしてからは、今の姿を知る人はわずかだ ©Getty Images

拘束期間は歴代大統領で最長に

 拘置所での対応がVIP並みだとも騒がれたが、拘束期間は、拘束された歴代大統領の中でもっとも長くなった。無期懲役の判決を受けた全斗煥元大統領と懲役17年を受けた盧泰愚元大統領は共に特別恩赦で2年あまりで釈放されたが、このふたりの拘束記録を破ったといわれている。

 3月初めには、李明博元大統領が健康上の理由から保釈されていて、その時は韓国世論の関心も特に向けられることはなかったのに、朴前大統領は話が違うようだ。大統領選挙当選当初から支持率の高かった大統領ではなかったが、それにしても、これほどまで嫌われるのはなぜだろう。

 政治評論家でもある龍仁大学のチェ・チャンリョル政治学教授はこう解説する。

「朴大統領は、職権を乱用し、その権力を行使して崔順実という知己の女性とともに企業から資金まで出させ、大統領としての資格がないと審判されて、弾劾訴追され、罷免されました。

 複数の罪に問われて裁判中ですが、(17年10月からは)裁判をボイコットまでしている。まったく自身の行為を反省していない。韓国の人々はかつての大統領が罪に問われて服役しても恩赦ででてきてしまってまったく改心しないことを目の当たりにしてきました。もう、そんな不正は許してはならないという雰囲気が国民の中にある。

 それに、そもそも朴前大統領は釈放の条件には当てはまりません。李元大統領は持病などで健康上の問題があると判断されましたが、朴大統領の場合は腰痛でしょ。まず、条件が合わない」